カテゴリ: ランチア

不可解な欧州車の部品供給(ランチア イプシロン ZLA843 ワイパー作動不良 修理)

突然の夕立が頻繁だった夏の終わり、ワイパーが動かなくなりましたと連絡が入りました。

平成16年式 ZLA843 ランチア イプシロン 843A1 5MT 走行距離 132,000km

ワイパーのスイッチを入れて、ワイパーアームを手助けすると1往復は動き、動作が停止した後はモーターが空回りしているような音がするとのこと。ワイパー駆動用モーターに隣接する歯車機構は、減速比の大きいウォームギア(ネジ歯車)です。モーター軸に鋼製ウォームが取り付けられ、樹脂製のウォームホイールが駆動されるという構成が一般的でしょう。

ウォームギア機構は特性上、歯車同士の摩擦が大きな接触ですから、ウォームホイールを砲金にするなど、少しやわらかい金属を使うと高耐久です。しかし、軽量化と製造費抑制のため樹脂を使うようです。今回の症状を伺うと、この歯車機構に磨耗が生じ、動力伝達が損なわれている様子でした。

フロントガラス下のカウルトップ内側に、ワイパー動作のカラクリが内蔵されています。

カウルトップパネルに装着されているプラスチックの止め具は、取外し時に経年劣化で粉々に砕けました(このクリップが後に問題になります)。

そして、独ボッシュ製のワイパーモーターASSYを分解すると、内部には予想以上の大量の樹脂磨耗粉が…

樹脂製のウォームホイールはご覧のように大きく凹む磨耗が見られました。

高価な新品部品の使用はせず、お客様がお探しになられた良品中古をインストールします。

 

↓動作確認です。

さて、問題は取外し時に破損したクリップでした。部品商に見積り依頼すると、なんと一般的な価格の約10倍で、しかも国内欠品中。再確認しますが間違いがないようです。

価格設定に違和感を覚え、検索手法を変更してWebサーチします。すると、欧州他メーカーで同一部品が使用されていることが判明し、その自動車メーカー固有の部品番号で再見積もりしますと、適正価格で国内在庫がありました。

陸続きの欧州ですから、自動車メーカーは違っても部品の供給元は共通の場合が多いと思います。Web上にはクロスリファレンスを提供するサイトもいくつかあるようですので、適合に注意しながら活用するといいかもしれません。

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