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高性能テスターは使い手次第?(ランチア イプシロン ZLA843 アライメント調整)

エンジンからの異音が大きくなったようだとご来店されたランチア イプシロン。

異音は出たり出なかったりですが、アイドリング回転や、エンジン回転下降時に発生することからタイミングベルトテンショナーベアリングからで間違いないでしょうとオーナー様にお伝えし、作業のご判断をお任せすることにしました。

そして、その後お客様とドライビングの話題で盛り上がっていると、落下物に接触してから直進状態で左に流れるようになり、ハンドルのセンターも左に傾いているとのこと。

ホイールアライメントテスターを備えるお店で測定や調整をしてもらい、さほど改善されない状態だったのをプリントアウトされた良好な結果で納得し、ご来店までそのままお乗りになられていたようです。

僕はどうも気がかりで、お客様の承諾を得てサイドスリップテスターに掛けてみることにしました。

サイドスリップテスターは、横方向にスライドする踏み板の上を通過させ、「横滑り量」といわれる前輪の状態を測定するものです。

ホイールアライメントの指標には大きく「トー」「キャンバー」「キャスター」の3つがありますが、サイドスリップテスターの測定値は大雑把に言うと「トー」と大きな相関があります。ホイールアライメント不良のスクリーニングとして使用します。

測定値は、長さ1mの踏み板を通過したときのズレで、単位はmmで表します。保安基準(車検の合否基準)は、IN 5mm ~ OUT 5mmですが、自動車個々に基準値がありますので、保安基準に適合するからと放っておいては問題で、大きく外れているものについては修正が必要です。また、輸入車の後輪駆動車の一部には例外もあります(IN 7mmが標準など)

そして、イプシロンの前輪を通過させると大きくINに指針が傾き、この後 IN 6mm の保安基準不適合の領域まで振れてしまいました…

イプシロンはタイロッドエンドの調整ねじでトー調整が可能です。適正に調整しなおすことで直進性の向上や、操舵開始直後のフィーリングに改善があると思います。しかし左流れについては落下物と接触したと見られる左側のホイールベースが短くなっていて(ロワーアームなどが後方に変形している可能性があります)もう少し入念に点検する必要があるでしょう。

高精度なホイールアライメントテスターは、使い手次第です。ホイールアライメントテスターに掛けて調整直後、今回のような簡易診断で大きく基準から外れている例が少なくありません。

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