車検(継続検査)でお預かりしたスズキ アルト。
この型式のアルトも車齢が進み、こちらの車体は18回目の定期点検です。
より入念に点検を行う時期に差し掛かりました。
平成17年式 DBA-HA24S K6A 4AT 走行距離 79,000km
停止アイドリングでエンジン音を聞いてると、シューと耳障りな音が聞こえることに気が付きます。最初オルタネーター付近から聞こえるように思いましたので、オルタネーター本体かベルトの擦過音かなと思いましたが、ベルトは新しく張りも適正。ベルト摩耗の様子もありません。
詳細な点検は後回しにしようと、他の点検を進めていると、ブレーキブースターの気密点検において、アイドリング状態でブレーキを踏み込んだ時、シュー音が小さくなることに気がつきました。
さらにブレーキを踏んだままエンジンキーをOFFにすると、ググッとブレーキペダルが押し戻されてきます。
ここでようやくシュー音と、真空式ブレーキブースター(運転者のブレーキ操作力を低減する装置、別称マスターバック)の気密不良の関係がつながりました。ブースター内部で二次エアを吸っているのです。
目視点検ではマスターシリンダからのブレーキフルード漏れが見られ、
マスターシリンダをブースターから離脱すると、
ブレーキフルードが大量にブースター内部に浸潤している様子。ブレーキフルードがブースター内部を劣化させたのかもしれません。
いずれにしましてもマスターシリンダー、ブレーキブースター両方の交換が必要です。
作業の手順を確認するためエンジンルーム内の部品配置を見ると、単体ですんなり取り外せるような空間がありません。
サービスマニュアルには、
サラッとインテークマニホールド(以下インマニ)取り外しの指示がありました。
インマニ脱着というとつい身構えてしまいがちですが、近年主流の樹脂製インマニのパッキンは、ゴムの成型品(下の写真でオレンジ色のパッキン)で癒着もなく、以前は大変時間が掛かった取り付け面の清掃が極短時間で済みますし、こちらK6Aのインマニはインジェクターや燃料ホースもついた状態で大きく移動することができますので、億劫に感じる必要はないでしょう。
インマニが無くなると奥のオルタネーターやスターターにも簡単に手が届くようになりますね。
スズキの軽FF車でオルタネーター離脱に難儀しそうな車両を見かけますが、こんな風にインマニを外せば案外造作ないのかもしれません。
そうして、インマニが退いた空間へゴロりとブレーキブースターを転がすように離脱。
今回は費用の関係でリサイクルパーツを使用しました。こちらの車両はマスターシリンダーのインナー部品の設定がなく、不具合の場合はASSY交換だそうです。
さらに、分解過程で見つかったエアインテークダクトの亀裂。
補給部品はバンドの形状が変更になっているようです。
エンジンの調子が随分整ったのは言うまでもありません。
ブレーキブースターの補助が得られないブレーキを経験された方は少ないと思いますが、完全に機能しなくなると全く止まらないと感じるくらい人力で制動力を得ることが難しくなります。もちろんエンジンも二次エアの大量混入で調子が悪化します。
車齢を重ねた車両の定期点検の大切さを痛感した不具合事例でした。
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