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燃料ポンプが作動しない原因を調べる(DBA-L175S, ダイハツ ムーヴ)

走行中、徐々にエンジン不調に陥り、ついにストール。再始動不能になったダイハツ ムーヴをお預かりしました。

平成19年式 DBA-L175S KF-VE 4AT 走行距離 127,000km


セルモーターは勢いよく回りますが、燃料ポンプの作動音がしません。燃料ホースも弾力が弱く燃料が送られていない様子でした。尚、エンジンコンピューターのダイアグノーシスは何も検出していません。

走行距離的に燃料ポンプが停止してしまうのは少し早い気がしましたが、質の良くない燃料を入れ続けた車両では10万キロ未満で燃料ポンプがブラシ摩耗で停止に至ることは珍しくありません。

燃料ポンプを取り外して単体点検しましたが、全く動かないと思ったポンプモーターは弱いながら回転します(中古良品ポンプと作動音比較)。

そしてもう一つの疑問は、燃料ポンプの不調はエンジン始動時に現れやすく、走行中に停止することがほとんどないことでした。

ストレーナの汚れと作動の頼りなさから、どのみちポンプの寿命が早いだろうと新品に交換しましたが、車両に装置したところ、燃料ポンプが作動する気配が全くありません。

ダイアグに頼りすぎて、最初に基本的な電源点検を怠っていました。

改めて回路図を確認します。

燃料ポンプリレーのコイル電源のヒューズは、3本備わるイグニッションコイルと共用。

点火不良に陥った時にシリンダを燃料で濡らすことを避けるためでしょうか。インジェクタの作動を止めるほうがプログラム的に簡単だったように思いますが、何か理由があってのことでしょう。

E/Gと書かれたヒューズは室内にあり、溶断を確認。燃料ポンプが動かない理由です。そして、その原因はイグニッションコイルにありそうです。

点検すると、2番シリンダのコイルに大きな亀裂が入っていました。

コイルの不調をダイアグノーシスで検出するのは制御信号の限られた系統です。基本点検の大切さを痛感した故障事例でした。

取り寄せたコイルは金属のスリーブが装着されて対策が講じられているようです。

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