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なぜボールジョイントのダストブーツは厳しく検査されるのか(ダイハツ ミラ DBA-L275S) )

法定点検で、「かじ取り装置のロッド及びアーム類のボールジョイントのダストブーツの亀裂及び損傷」と書かれた検査項目があります。

ボールジョイントは、人間の関節のような構造で、ステアリングやサスペンションの作動支点には欠かせない部品です。

ボールジョイントは主にグリースで潤滑されていて、砂塵や水分の浸入を防ぐためにゴム製のダストブーツで覆われています。

経年車では、このダストブーツに亀裂や損傷がつきもので、破れたまま放置するとボールジョイントが錆びて摩耗し、がたつきが出始めます。

そして、さらに摩耗・腐食が進行するとボールジョイントが完全に脱離してしまうことがあり、走行速度次第では大事故につながる危険性があります。

これが、法定点検で入念な点検が求められる最大の理由です。

参考記事:「スズキ ワゴンR ロワーアーム ボールジョイント離脱→走行不能(E-CT51S)」

今回、24ヶ月点検でお預かりしたダイハツ ミラ。

平成21年式 DBA-L275S KF-VE 4AT 走行距離 132,000km

フロントサスペンションのロワーアーム車輪側のボールジョイントを点検すると、ダストブーツに大きな亀裂が見られました。

幸いグリースの汚れは少なく、ボールジョイントの損傷はありませんでしたので、純正部品で供給のあるダストブーツの交換で対処します。

整備士のあなたならご存じと思いますが、サイズだけ真似た社外品のダストブーツの使用はNGです。面接触部の潤滑性が良くなく、ダストブーツに繰り返し捻じれの力が加わって、早期にダストブーツが断裂してしまいます。

ダストブーツの打ち込みは、廃材利用のちょうどよいサイズの当てものを介して、ショックレスハンマーで優しく叩き込みます。

このサスペンション型式のダイハツ車の場合、ドライブシャフトをナックルアームから切り離すと、ボールジョイントのテーパー勘合に容易に工具が宛がえますので、最も作業時間が早くて確実でしょう。

ドライブシャフトのロックナットは必ず規定トルクを修理書で確認します。ハブベアリングの仕様のため、時々ロートルク指定のものがあるからです。

今回は196Nmでした。

ロックナットの「カシメ」方法は、整備士の好みがあると思いますが、僕は矩形痕が綺麗に感じますので、専用のポンチを自作しています。

足回りを分解する比較的大がかりな作業の割に、オーナー様にとっては全く変わり映えしないのが残念ですが、定期点検整備は、このような地味な作業の積み重ねで安全運行が保たれているとご理解いただけると幸いです。

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