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近年の輸入車が儚く感じるワケ ~アルファロメオ159修理の過程で~

重いウインドウガラスの固定具、そして定滑車も巻枠も樹脂でできた鶴瓶式のウインドウレギュレーターは故障と隣り合わせ。

かつての国産車も同様の構造が多かったのですが、徐々に金属製のパンタグラフ式になり、故障は格段に減りました。


こちらアルファロメオ159のウインドウレギュレーターは、樹脂製の固定具が大きな音と共に粉砕。ウインドガラスはドアパネル内に下がったままになり、オーナー様は、手でガラスを持ち上げ、養生テープでドアサッシュに応急固定されていました。

ドアの内部に組み込まれた臓物は、組み立てのしやすさと製造コスト抑制をものすごく優先しているように見えます。メーカーの利益追求の手法が、自動車を組み立てる労働者環境も含めて、日本国内と諸外国では随分違うのかもしれません。

さて、入庫時から気になっていたクーラント臭とエンジンルームの凄まじい熱気。

クーラント漏れはラジエーターの右側タンク下部から。

そして、エンジンルームの熱気は、全合成ではないエンジンオイル注入によるものではないでしょうかとオーナー様にお伝えし、取り急ぎエンジンオイルをMOTUL 8100 X-cess に入れ替えて、後日部品が揃ってからラジエーター交換を実施することにしました。

そして再入庫の日、エンジンはすごく軽く回るように感じますと嬉しいご感想をいただいた一方で、ご来店途上で気になる警告表示が点灯したとおっしゃいます。

接続した診断機、multiecuscanの表示は、排気用フェーズバリエータの油圧アクチュエータ不調でした。

油圧アクチュエータは、エンジン中央の赤いカバーを開けた1番シリンダ側に吸気用、排気用二つ並びます。

本題のラジエーター交換は、各部に負担をかけないよう、取り外し部品を多めにして一気に進めました。

ラジエーターホースは樹脂製のジョイントと組み合わさった状態での供給。BMWとよく似た組み立てが容易な構造です。

一番高い位置には、このようなM6サイズの小さな樹脂製のエア抜きプラグが備わります。

エンジンオイルに全合成を使用せず、クーラント管理を怠ると、一番高い水温に晒されるこの小さな樹脂パーツが劣化して脆くなり、内圧に耐えられずに吹き飛びます。

今回は3ヶ所ある樹脂プラグのついたホース類を全数交換しました。残念ながら樹脂プラグのみの部品供給はなく、代替社外品も存在しません。

いろいろな事情で決定された輸入車各車の構造や素材ですが、弱さを認識した上で、日常点検と適切な液体管理をすると、突然のトラブルを高確率で回避できると考えています。

↓メインで取り扱うMOTULの高性能100%化学合成オイルです。

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