新車から継続して拝見している初代ヴィッツにお乗りのお客様から、
『以前は感じなかった腰痛が1時間未満の短時間運転で現れるようになって、自分の体の不調と思っていた。ところが、助手席に座ると運転席とのあまりの乗り心地の差にびっくりした。運転席の劣化に何かよい改善方法はありませんか?』
とご相談を受けました。
平成15年式 UA-SCP10 1SZ-FE 5MT 走行距離 253,000km
自動車の乗り心地に影響する要素は大きく3つです。
-
①タイヤ
②サスペンション
③シート(座席)
①タイヤは、標準サイズで優良メーカー品であれば問題ありません。こちらのヴィッツは、パッソ新車装着の標準サイズ155/80R13をチョイス。一般道走行では十分なグリップ力があり、乗り心地がとても良いです。
②サスペンションは良質のショックアブソーバを組むことで、タイヤの接地性をグッと高めますから、破綻なく路面の凹凸に追従してくれます。走行距離が25万キロを超え4回目のショックアブソーバ交換から4万キロ経過しました。若干リア側に粗さが見えるものの概ね良好ですから、もうしばらくこのままお使いいただくことにします。
《関連記事》あなたは乗り心地に満足ですか?(トヨタ ヴィッツ UA-SCP10 ショックアブソーバー交換)
そして③のシート(座席)です。
ご相談のあった運転席シートは、乗降側の座面に弾力がなく、表面のファブリックにたるみが生じていました。それは、内部のウレタンスポンジが粉砕してボリュームが少なくなったためです。
床面には大量の黄色い粉が落ちていました。
座面に腰掛けると、お尻が右に傾いて沈み込み、背骨が湾曲。これでは短時間走行で腰回りに負担になって当然でしょう。ハンドルや足元のペダル類との距離もいい加減になります。
一方、使用頻度の低い助手席は、しっかりとした弾力があり、腰を水平に保持してくれます。
初代ヴィッツのシートはとてもよくできています。完成度のあまり高くないスポーツシートにありがちな余計な凹凸がなく、硬めで厚いフラットな座面と背面で体を優しく支えます。
もちろんシートの修理をする方法もありましたが、今回はワンランク上のレカロシートに交換することをお勧めました。例え愛車が変わったとしてもシートをそのままお使いいただけますからとても経済的。
標準のシートと違って、走行中に車体揺れの影響を受けにくく、正しいドライビングポジションの保持が期待できます。
新車から装着し大切にお使いのハンドル、ナルディクラシックとの距離がブレませんので、操作がより確実になるでしょう。
旅客機のシートにも採用されているレカロですから一度はお座りになられているかもしれません。人間工学に基づいて設計され、機能美となって表れた美しいフォルムは、他と一線を画します。
かつて(西)ドイツ本国で生産されていた秀逸なモデルはもう生産されていなくてとても残念ですが、その哲学は今も受け継がれ、モータースポーツから一般ユースまで多くの愛用者がいることがその証です。
受注生産で装着まであと2ヶ月。完成がとても楽しみになってきました。
次回『自動車用シートへのこだわり(その2) ~レカロで正しいドライビングポジションと腰痛対策~』に続く
《関連記事》
ポルシェ 981ボクスター サスペンション修理 ~ミッドシップの特性を考える~
いすゞ ジェミニ ハンドリング バイ ロータス 車検整備 (Handling by LOTUS, E-JT190)
スズキ ジムニー 点検整備 (V-JA11V)
コメントを残す