ちょうど5年前、乗り心地改善のご相談があったのは、ピノの走行距離が25,000kmのときでした。
当時、ノーマルの乗り心地のチープさに疑問をお感じになられて情報収集するも、ローダウンやインチアップなどの外観重視の改造ばかりだと、オーナー様は大変お困りの様子でした。
ローダウンやインチアップは何故いけないのか?(DBA-HC24S 日産 ピノ 乗り心地改善 ショックアブソーバ交換)
能力不足に感じたショックアブソーバをグレードアップすることをお勧めして交換作業を実施。現在は、走行距離が110,000kmに達しました。
平成21年式 DBA-HC24S K6A 5MT 走行距離 110,000km
僕は、定期点検などでチェックし、十分な減衰力があると感じていましたが、3名乗車時などで、以前にはない不安定や突き上げがあることをきっかけに同じショックアブソーバの新調を決断されました。
ショックアブソーバの劣化はとても緩慢です。比較的低圧の窒素ガスが封入された複筒式ショックアブソーバは、少々のオイル漏れや、窒素ガス漏れがあっても、減衰力が全く出なくなるほど劣化することはありません。
しかし、新品時の「乗り味」「安定性」「滑走性」は徐々に薄れていきます。減衰特性が変化するのだと思っています。
今回はアッパーマウントやコイルスプリングシートなど、サスペンションに付随するラバーパーツも同時に交換しました。
試運転でピノのナルディを操作すると、路面からのインフォメーションがまるで違うことに気が付きます。
オーナー様にお渡し後、
今回作業をしていただい後に運転席に座ってすぐに車の安定感が改善されているがわかりました。
走行中の安定感・発進時にクラッチを繋ぐ時に車が沈まずスムーズに進みます。
交換して走りが改善されるのは、わかっていましたが、車の運転の楽しさを改めて感じることが出来ました。
新しく、高性能な車に乗り換えるのもワクワクするでしょう。
でも、同じ車に乗り続けて走りの楽しさを再確認出来るのはお支払いした金額以上の価値があったと思います。
と、とても嬉しいご感想を頂戴しました。
クルマ修理の多くは、故障を伴うのでネガティブな印象が強く、作業後も変り映えしませんが、ショックアブソーバ交換は違います。
同じクルマに長く乗り続けるあなただけが味わえる喜び。
数少ないカーメンテナンスといえるでしょう。
《編集後記》
ご承知の通り、KYBは非主力事業である建築建造物用ショックアブソーバ(オイルダンパー)で品質管理の問題が報道されました。自動車用緩衝装置で世界シェア第2位を誇る優良メーカーの不正発覚報道は衝撃でした。明るみに出るまでには、様々な背景があったと思います。他製造業でも次々に不正を指摘、報道される昨今。社会で決められたルールを愚直に守ることの難しさを痛感します。