前回記事『学生時代の追想(ファミリア4WD→マーチR)』の続き
峠道の下りを思いのまま操れるマーチRは本当に楽しかったです。
自動車が軽量で、下りの恐怖から解放されました。ブレーキは良く効くし、挙動が大きく出過ぎてもスグ止まる。そして、ツインチャージャーの強烈なトルクが掛かった前輪は、操舵方向を定めてアクセルを踏めば、グイッと車体を引っ張ってくれてラインから逸れる気がしませんでした。
マーチRに乗って10ヵ月経過し、足回りのセッティングもわかってきました。
当初、残り溝の少なくなったラリータイヤで舗装路を走っていましたが、もっとコーナリングスピードを上げたくてモータースポーツ用ではない、一般的なハイグリップタイヤを履かせました。
調子を確かめにいつものSSR峠の下り。猛烈な加速で、クロスレシオのチェンジレバーは瞬く間にサードに。比較的浅い右カーブ手前でブレーキング&シフトダウンした瞬間、フロントガラスからいつものコースは消え、眼前には赤茶色い景色が迫りました。
全く曲がらず側溝を飛び越えて山肌に衝突したのです。
跳ね返って道に対して直角に停止。降りて見るまでもない大損傷は、左フロント部大破、フロアーパネルも天井も波打つ状態でした。
それまで舗装路練習には未舗装路で使い古したラリータイヤを使っていました。ラリータイヤは残り溝が少なくなるとブロック剛性が高くなり、良質のコンパウンドが使われていますので舗装用途に十分な性能がありました。
そんなコントローラブルなタイヤで練習していたものですから、滑り出しても制御できるという過信がありました。
一方、モータースポーツ用ではない一般のハイグリップタイヤは、グリップが突然「抜け」ます。それを実感した事故でした。僕がハイグリップタイヤをお勧めしない一番の理由です。
補強の入ったマーチRのフレーム修正は難しく、部品をバラ売りしながら次のクルマを探しました。ほんの数ヶ月でも練習できない日常は退屈で、早く戦闘力の高いクルマを手に入れたかったのですが、学生アルバイトでは限界がありました。
そんな折、親しい友人が乗るハチロク、車の乗り換えで譲り受ける話が浮上。当時もはや時代遅れの後輪駆動車でしたが、排気量1600ccで900kg台の軽量車です。4ピニオンの機械式LSD(リミテッドスリップデフ)とKYBスーパースペシャルシリーズのショックアブソーバー、ロールケージを組んだ暫定ラリー仕様は、予想以上の速さでした。
ノーマルの4A-Gは、4000回転以下ではトルクが細く使い物になりませんが、操舵と駆動が別軸ということと、リアアクスルがリジッドでバネ下が重く安定すること、そして、LSDの効き始めを調整することでエンジン回転を落とすことなく素直なコーナリングが得られました。
ハチロクでタイムを出す場合、カウンタステアを当てるような挙動の出方は失敗です。カーブ一つあたりコンマ数秒のロスになります。決して派手ではありませんがアンダーステアにセッティングして前輪・後輪の流れ量のバランスを取ると下りの怖さも少なかった覚えがあります。
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お江戸のM says
お久しぶりでございます。
わ~、懐かしい~!AE86
私も乗ってました。
勿論、普段使いで「ドノウマル」です。
何故かトレノHBでした。
周りには「ゴキブリみたい」と言われていました。
これぞ86なのに、現行は興味無しです。
たけしくん says
お江戸のMさん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。
Mさんもハチロクにお乗りだったんですね。
HB、クーペ、レビン、トレノ、前期・後期、APEX、GTV、GTとバリエーション豊富なハチロクです。それぞれに個性があっていいと思います。僕の場合は縁あってパワーステアリング付きの豪華仕様でした。ラリーユースでは、2ドアクーペのボディがよじれ感が少なくてよかったです。パワーステアリングも付いている方が楽に操作できるので僕は好きでした。
当時を思うとやり残したこととか、今の整備技術・設備があればこんなこともできたかなとか、懐かしい写真を眺めていました。あんな回転感のエンジンって後にも先にもありません。
現行のハチロクは、自動車としてはよくできていると思います。名前が違っていた方がよかったかもしれませんね。