『昨日は朝夕とも一発始動だったのですが、今朝は0℃近くまで下がったせいか、間を空けて20回弱セル(スターターモーター)を回したように思います。もう諦めようかと思った時にエンジンが掛かったのでそのまま会社まで来ましたが、帰りもかなり心配な状況です。』
平成17年式 GH-PD6W 6G72 4AT 走行距離 136,000km
お客様からエンジン始動が困難になったとのお知らせがあり、冷え込みが厳しくなる季節に頻発する燃料ポンプ不良の可能性をお伝えしましたが、翌朝、ご自宅のガレージで始動不能になってしまいました。
年式・走行距離を考え、消去法的に燃料ポンプの取替をご提案しますが、肝心の燃料ポンプはメーカー在庫がありません。入手まで10日程度必要でした。
店のすぐ近くのお客様です。まずはスターターモーターの使用で疲れたバッテリーを新調していただくようお願いしました。
入庫当日に運よくエンジン始動ができれば、レッカー手配や困難な不動車の搬入作業を回避できます。しばらくスペースギアには安息いただくことにします。
そして、入庫当日の早朝。
車両下に潜り込み、燃料ポンプにつながる金属パイプに衝撃を与えるなどしますが、ポンプは作動の気配がありません。
スターターモーターを回し続けると電圧降下で燃料ポンプに印加する電圧も低くなります。スペースギアは、スターター信号をきっかけに燃料ポンプ作動する仕組みのようですから、キーONだけでは燃料ポンプは作動しません。
あきらめムード漂う中、僕は、より高い電圧を燃料ポンプに掛ける目的で、スターターモーターを一瞬回すキー動作を繰り返し行いました。
すると程なくして、エンジンが息を吹き返したのです!
お客様の歓声と愛車の咆哮がガレージ内にこだまし、無機質な工業製品にも犬馬の心が宿るように思えます。
早速入庫いただき、燃料タンクを車両から離脱。ポンプブラケットにアセンブルされたポンプモーターを組み付けます(右:新品)。
ポンプブラケットを取り外した場所からタンク内部を確認すると非常に綺麗で、注入されていた燃料に問題がなく安心しました。
エンジンルームのバッテリー奥に配置された燃料フィルタも同時に交換します。内部にはブラシ粉と思われる汚れがガソリンと共に排出されました。
翌日は始動良好とのお知らせをいただきました。お渡し時には以前よりクランキングが短くなっている印象でしたから燃料ポンプの吐出力が徐々に弱まってきていたのかもしれません。
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