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原付スクーターの不調とエンジンオーバーホール(ホンダ ライブディオ ZX仕様 AF34フレーム+AF35エンジン)

パワフルな2ストロークの原付がメーカーの自主規制で生産されなくなって、街で見かける姿も段々と少なくなった12年ほど前のことです。

不完全で不調なライブディオ(最後の2ストロークエンジン搭載モデル)複数台を譲り受ける機会があり、それらの生きている部品を1台にまとめる作業を、四輪整備作業の合間に少しずつ進めていたことがありました。

使える部品は型式AF34のスタンダードグレードのフレームと、馬力アップグレードのZX(型式AF35)のエンジンでした。これらを連結したところ、全く問題なく動いたので、全塗装&シート張替えして販売しました。

そのライブディオZX仕様が、最近エンジンが掛かりにくくなったとのことでお預かりしました。

平成7年式 AF34+AF35エンジン 走行距離不明(販売してから約3万キロ)

2年前にキャブレータのオーバーホールとオートチョークの交換をしましたので、キャブレータ内は心配ないと思いましたが、内部を確認しますと、メーンジェットの中心通路に汚れが堆積しているのが確認できました。


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清掃後、お預かり時の始動不良が解消しましたので、お返ししたのですが、その2週間後、走行中に突然エンスト。すぐにはエンジンがかからず、しばらくすると始動可能になるものの、しばらく走行するとエンストを再発。これを繰り返して何とかご来店されました。

お客様は「ガス欠みたいに感じる」とのことでしたので、再度キャブレータを分解し、清掃未実施だった燃料入り口付近にエアを通して清掃します。

そして、さらに上流のフューエルストレーナ内部に異物を確認しましたので新品に交換しました。

しかし、こんな綿毛のような異物で燃料を遮断しているんだろうか?という疑問がありましたが、

キャブ再清掃とストレーナ新品交換後は、エンジンが止まることなく京見峠の往復試運転は全く問題ありませんでした。

僕は、走行中のエンスト症状を一度も確認できず、どこか腑に落ちないままお返ししたのですが、3日後に走行中エンスト再発。

ところが、入庫時は全く快調です。前回点検できていなかった負圧式燃料ポンプの気密点検はホースの劣化もなく問題なし。プラグ先端の燃焼状態も問題なさそうです。

こうなったらと、引き出しの奥に仕舞い込んでいた後期型のキャブレータを引っ張り出してきて装着。

ボルトオンでそのまま使えることに驚きます。

四輪整備の合間の作業で、なおかつ手探りですので、なかなか思うように診断が進まないのですが、僕がエンストの症状を体感しないことには始まらない気がして、時間を多めに割いて近場を走りこんでみることにしました。

後期型のキャブレータに交換しても全く問題なく走ります。単純な機械は楽しいですね。

1時間ほど走ったころでしょうか。大きな段差を通過したとき、フロントフォークに衝撃を受けた瞬間、エンスト。再始動不能になりました。

これはどうも電気系統の不具合のようです。点火が突然途切れている感じです。

店に戻り、衝撃が加わったフロントカウル内部を開けて、社外品のCDI(静電容量放電式点火装置)が装着されているのを発見し、不調原因を確信します。

アイドリング状態でCDIのコネクタを揺するとエンスト。内部断線に間違いなさそうです。

樹脂コートを一部剥離して、内部の断線箇所をハンダ修繕して再シール。部品到着までの応急処置としました。

京見峠の登りの力の無さをお客様とお話していると、以前はもっと力強く登ったとのこと。

そこでエンジンの圧縮圧力を計測すると、基準値7kgf/cm2に対して5kgf/cm2。これでは点火系が正常に戻っても快調とは言えません。

幸いにしてエンジン腰上の純正パーツが揃いましたので、オーバーホールを施し完成といたしました。

取り外したピストンを見ると、なんと2本あるピストンリングのうち1本見当たりません。フリクション低減の省略チューニング?施してありました(汗)。これでは長持ちしないはずです。

シリンダー周りをリフレッシュして圧縮圧力が完全回復。

1990年代の2ストローク車は貴重になりました。今後も大切にお乗りいただけると嬉しいです。