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ホンダ モンキー Z50M エンジン吹け上がり不良 ~ポイント式点火装置を考える~

3月の繁忙期に入る直前、アイドリングは続くがアクセルに反応がほとんどないという初代モンキーZ50Mをお預かりしました。

アクセルグリップを捻ると、力なくエンジンがストールしてしまう様子は、キャブレータのメインジェットの詰りのように感じます。


簡単に分解できるキャブレータのフロート室を開けて目視で確認しますが、燃料の汚れもジェットの詰りも見られません。

スパークプラグを取り外して先端部分を観察すると、むしろ燃料は過多の様子です。シリンダヘッドにスパークプラグを接地させ、キックする原始的な方法で点火の具合を見る限りでは点火は良さそうに思いました。

燃料、点火が良いとすると残りは圧縮です。

ところが、差動式シリンダリークテスタの指示値は、エンジン圧縮の良好を示します。

排出ガスの燃料過多の臭いを感じると、エンジンに負荷が掛かったときの点火が気になります。別車種の点火コイルASSYの交換でも調子が変わらないことから、今一度点火装置の回路を見ることにしました。

エンジンの左カバーを開けたフライホイールの奥、丸で示したコンデンサーが目につきました。配線を辿ると、点火コイルの1次コイルとLC回路を形成しています。バッテリーレスのモンキーの場合、1次コイルの電気の蓄えはコンデンサー依存が高い印象があります。その他LC共振など設計上の理由もありそうで、長年交換されていない高容量の電解コンデンサの交換を実施することにしました。

ホンダからは新しいパッケージの新品部品が供給され、50年前のバイクのアフターパーツが入手できることに驚きました。(ポイントは残念ながら現車と形状が異なり、元装着品の接点を磨いて調整しました。)

配線はハンダ付けです。形状変更に合わせて配線の束ね方を工夫します。

結果、始動性・吹け上がりとも良好になり、燃調を経て完成へ導きます。