「ダッシュボード奥から水の流れるような音がするのと、ヒーターが効きすぎるような気がします。」
と、オーバーヒートの兆候を伺い、緊急入庫していたただきました。
平成16年式 DBA-GB1 L15A CVT 走行距離 86,000km
ご来店時に、ラジエーターロワーホースの温度が低かったので、クーラントの循環不良を疑い、最初にサーモスタットの点検を行うことにしました。
新品のサーモスタットに比べて開き方が緩慢なのが明らかでしたので、オーバーヒート気味の原因と考え、サーモスタットを交換。
サーモスタットは4本のホースが接続されるアルミ製ハウジングの奥に配置されています。
取り外しのための工具が限られ、なかなかトリッキーでした。
サーモスタット交換後、2時間以上のエンジン稼働でクーラントの漏れがないこと・ラジエータへ温水が循環していることを確認してお渡ししましたが、数日後に「クーラントが漏れているようです」と連絡を受けて、慌てて再入庫いただきました。
点検不足で誠に恥ずかしく、お客様には大変ご迷惑をお掛けいたしました。
アンダーカバーにはびっしょりとクーラントが。
フロントバンパーを取り外してラジエーターのアッパータンクを観察すると、横に大きく亀裂が確認できました。
サーモスタット交換で新しいクーラントが循環し、浸透性が良くなって漏洩が加速したものと思いますが、最初のご来店時にクーラント臭を伺っていたにもかかわらず、発見できなかったことが悔やまれます。
モビリオのラジエータは横に長く、寒暖差の大きいこの季節は、膨張収縮のストレスで歪みが大きくなるのかもしれません。水温(クーラント温度)は、夏でも冬でも完全暖機時は90度付近でほぼ一定ですが、冷機時の水温は外気温で大きく違うからです。
その後、入庫したアルファ147もサーモスタットハウジングの樹脂部品とアルミ部品の勘合部から僅かなクーラントの滲みがありました。
お客様は、お預かり前にクーラントレベルの低下をご存知で、MINを下回ったサブタンクに補給されたとのこと。
このように、水冷式エンジンの生命線であるクーラントは、経路を腐食から守るための定期交換はもちろん大切ですが、季節を通じてクーラント量の確認をすることで、大きなトラブルを未然に防ぐことができるのです。