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シトロエン C4 エンジン不調は意外な原因だった (GH-B5RFJ)

前回『シトロエン C4 エンジン不調を調べてみたら (GH-B5RFJ)』の続きです。

調子が回復したシトロエン C4 は、入庫翌日の試運転でエンジンの不調が再発しました。

平成18年式 GH-B5RFJ RFJ AL4 走行距離 92,000km


アイドリングが続かず、停止時にアクセルから足を離すとエンストします。停止直前にシフトレバーをニュートラルにしてアクセルを踏み足すなどして、何とか店まで戻り、再度 Lexia 3 を接続します。

詳細を確認すると、ほんの数分間の不調で291個ものログが…

この後、走行せず、エンジン始動・停止を数回繰り返しただけで、フォルトの数が550個まで増えたのです。これは電子制御の枝葉のトラブルではなさそう…

今回のログ、入庫時のフォルトに加えて、”fault, not listed” が目立ちます。エンジン制御系は相変わらず電子制御サーモスタットのフォルト。

(後で判かったのですが、新車時は電子制御サーモスタットが装着されているエンジンなんだそうです。この凝ったサーモスタットはその後、生産廃止となり、こちらのお車は旧来の受動型サーモスタットが装着され、余剰コネクタには防水のカバーが付いていました。したがってこの電子制御サーモスタット断線のフォルトは常に現れるようです。)

Lexia 3 に表示される数々の情報、実際のエンジンの状態と関連する決定的なものが見つけられず、再度エンジンを始動しようとしたところ… セルは回るもののエンジンが始動しません… そして、メーターパネルの表示が消え… パワーウインド、ヘッドライト、ワイパーなど、いろいろな機能が次々作動不能に陥りました…

念のため燃料ポンプの単体点検をしますが、正常。

この時点でお客様に連絡。電子制御の中枢部の機能不全の可能性をお伝えし、正規販社へ回送する準備をお願いしました。プログラミングが必要な場合や、故障事例の豊富さにおいて僕では太刀打ちできないからです。

限られた時間ですが、僕なりに不具合箇所を探求します。エンジンルーム内のヒューズボックスは、多極のコネクタが配置されて、奥にはリレーなども見えます。フォルトも出ていた燃料ポンプ制御もこの内部で行われているのでしょう。

プラスチックハンマーで数分間、繰り返しコンコン…と衝撃を与えてみました。

そして運転席ドアを開けると、正常時に聞こえる燃料ポンプの作動音が!!
キーを捻ると全てのシステムが回復している様子。

何事も無かったのようにエンジンが始動し、ヘッドライトも正常点灯。

そして数分のアイドリングの後、エンジンが止まりました… 再度ハンマーでヒューズボックスにコンコンと衝撃を与えると、燃料ポンプ作動だけとか、部分的に回復しますが、先の完全回復までは至りません。

断末魔のC4… 最後に大きなヒントを与えてくれました。

まずはヒューズボックス(制御系内包)の交換でしょう。その後の作業は販社サービスにお任せいたします。

最後までお手伝いできず大変申し訳ありませんでした。とてもよい経験をさせていただきました。この度はご用命誠にありがとうございました。

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