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フィアット ムルティプラ エンジン警告灯点灯、エンジン不調(GH-186B6 インジェクター交換)

フィアット ムルティプラが入庫しました。先代のムルティプラに負けずとも劣らない個性的なデザインですね。

平成16年式 GH-186B6 FF5MT 走行距離127,700km


エンジン警告等が点灯し、アイドリング不安定、加速不良ということです。FiatECUScanで診断します。

エンジンECUに接続、フォルトを呼び出すといくつか出ています。

一旦フォルトを消去し、試運転 → エンジン警告灯点灯 → 再度フォルトを呼び出します。

1番インジェクター不良が残りました。
繰り返し試運転し、他のフォルトが立たないので、インジェクターを中心に調べます。インジェクターは、奥まった場所に配置されているため、単体点検のためにはデリバリー毎シリンダヘッドから離脱しないといけません。

無論、交換前提で部品を用意するのが効率的ですが…

通常の部品ルートでインジェクターを手配すると非常に高価。見込みで注文するには勇気が要ります。で、今回はお客様と相談し、いろいろ不安はありますが、某国で販売されている代替インジェクターを輸入することにしました。

何と価格は送料含めても純正の1/10以下!!

交換のためにはまず、シリンダヘッド上に横たわる樹脂製インマニを外します。

本当ならフューエルデリバリー毎インジェクターを外すのですが、インジェクターがシリンダヘッドに固着していて異常に固く、クリップ、コネクタを取り外し、デリバリーとインジェクタを一旦離脱することにしました。

古いインジェクターをできるだけ傷つけないようにプライヤーなどで取り外し、抵抗値を測定します。

Fiatecuscanの診断通り、1番インジェクタの抵抗値が極端に小さく、インジェクタ本体の不良が明確になりました。
2番インジェクターは外観から比較的新しいもののようです。

さて、某国製インジェクターです。

4本全て交換することにします。一応抵抗値のみ測定しました。吐出量その他性能は不明です。

組み付け後、試運転。調子がよかったのもつかの間、工場を出て程なく警告灯点灯、エンジン不調、マフラーから黒煙もくもく…

再度Fiatecuscanを接続しますと、

「1番シリンダミスファイヤ」何故???
そしてとりあえず1番プラグを外して… 唖然…

写真を撮る余裕がありませんでしたがプラグの先端はガソリンで湿っており、プラグホールから覗く燃焼室には溢れんばかりのガソリンが注ぎこまれています!!

どうやらインジェクターチェックボールの密着不良のようで、残圧分の燃料が止まりません(愕)
もちろん異物混入の可能性が否定できませんが、取付は慎重に清掃して行いましたので、安物インジェクターの初期不良の可能性が高いです。気を取り直して、比較的新しかった2番に装着されていたインジェクターを再組付け、試運転。

しかし…エンジン警告灯が再点灯(泣)
Fiatecuscanの診断の結果、シリンダ特定できないミスファイヤ(最初に出ていたフォルトが今になって出ました…)。

調べた結果、数回離脱したプラグコードが内部で破損して…

僕が破損のきっかけを与えたのは確かですが、経年劣化ゆえの脆さ。お客様はご理解くださいまして新品に交換。

ようやく本来のエンジンの調子を取り戻しました。イタリア車に限りませんが、輸入車の部品は国産と比較にならないくらい脆いです。大変貴重な経験でした。安物の輸入品の怖さも…

このたびはご用命誠にありがとうございました。

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