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三菱 パジェロミニ エンジン異音修理(E-H56A)

三菱パジェロミニです。パジェロミニに関する僕の以前の記事をご覧になられ、遠方よりご来店くださいました。

「まずファンベルト鳴きがひどい。インターネットで調べると設計上の不具合があるような記載があった。1年ほど前に調整か交換をしているはずだかよくわからない。また、ときどきパタパタと気になる別の異音がエンジンより聞こえる。オイル消費も気になる。」

とのことです。

平成9年式 E-H56A 4AT 4WD 走行距離98,000km


お客様はディーラーも含め、いくつかの修理工場でメンテナンスされていたようですが、出来栄えも説明も不十分とお感じになられている様子です。僕は、お車全体の状態を拝見するため法定12ヶ月点検の実施をご提案したところ、快く承諾いただきましたので早速作業します。

まず、ベルト鳴き。こちらのパワーステアリングベルト調整機構には、設計上の不具合ではなく構造が若干頼りない部分があり、整備士がその点を把握して組み付ければまず問題ありません。組み付けに熟練が必要な所があるということです。

尚、ベルトは純正品に限ります。柔軟性その他、重要な性能があると察します。社外ベルトはいくら丁寧に作業しても1年程度で激しい音鳴りが発生する場合があります。

次にパタパタ音。バルブ系、おそらくHLA(ハイドロリックラッシュアジャスタ)の油圧保持がうまくできてないのが原因と思います。音鳴りしてからアクセルを踏み込むと音が止みます。油圧が回復するのでしょう。

グレードの高い10W-40番の部分合成油を用いて音の変化を観察します。HLAには積極的にエンジンオイルを循環させていないので、うまくなじめばパタパタノイズが気にならなくなるかもしれません。HLAの異音低減のため、エンジンオイル添加剤を注入する向きもあるようですが、僕はお奨めしません。市販のエンジンオイルは各種添加剤が程よくブレンドされています。添加剤はいわば調味料。バランスが大切です。変な調味料(添加剤)を加えてはいけないような気がします。

さて、僕が初回入庫車で一番気になるのが冷却系統の痛みです。冷却系統は水冷式エンジンの生命線です。
アッパーホースのエンジン側に目立つにじみ跡がありましたので、痛みがひどいのではないかと思いましたが、

ラジエータ内部はキャップを外して覗き込むと非常に綺麗な状態を保っていて、ホッと一安心。

ただ、サーモスタットは予想通り開きっぱなしになっていて、これでは冷間始動時の水温の上がり方も緩慢だったでしょう。

交換後はヒーターの効きがよくなると思います。

あとATFです。交換歴が無さそうな異臭を放つATF。一度に全量交換はリスクを伴いますので部分交換を3回実施することにしました。

今回は第一回目。しばらく期間を置いて、その他の部分の経過観察を含めて再来店をお願いしました。

ちょうどタイミングベルトの交換時期です。今後の整備については経過をみてお客様と相談しようと考えますが、ラッシュアジャスターの交換、さらにオイル消費の修理をするとなると最低シリンダーヘッドの脱着を伴う大きな作業になります。もちろん費用も相応にかかります。

お車全体を拝見し、部分的にリフレッシュするのは機械的にも費用的にもバランスが良くないと感じます。あと数年延命させる現状維持のプランをご提案させていただきました。この度はご来店誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

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