水平対向エンジン特有と思っていた排気音は、こちらのBHレガシィを最後に、この後3ナンバー枠にボディが拡大されたBPレガシィからは聞くことがなくなりました。
設計者にとって本当は消したかった独特のボクサーサウンドはスバルファンを魅了し、BH以前のレガシィに人気がある理由の一つです。
人気の理由は、ハンドリングの良さにもあります。
それは、水平対向エンジンがコンパクトで低重心だからだといわれますが、同じ水平対向エンジンが載る現行ハチロクと比較すると四輪駆動部品の関係で、そう低くもなく、ドライバー寄りでもありませんから、むしろサスペンション配置に依るところが大きいと思います。
スバル車にお乗りのあなたはご承知のことと思いますが、ホイールオフセットが大きく特殊です。ホイール取り付け面が他車と比べて外側に位置しているということです。トレッドの拡大が効くのは、内部部品配置の拡張に尽きます。
ホイールオフセットを小さくしてタイヤホイールだけ張り出して見た目だけトレッドを拡大しても、カーブで実効的な「踏ん張り」はありません。
それどころか、標準のオフセットより小さいホイールを装着すると、操舵時にタイヤを前後に不自然に作動させたり、内外輪・前後輪の回転差の増加で各デフギアに負担が大きくなったり、ハブボルトにより大きな力が加わったりと、却ってハンドリングや車の挙動に違和感を覚えるでしょう。標準オフセットを守らなければならない理由です。
さて、マニュアルトランスミッションを載せた稀少なBHレガシィは、走行距離10万キロ目前になりました。
平成14年式 TA-BH5 EJ20ターボ 5MT 走行距離 98,000km
エンジンルームの左右に配置されているバルブロッカーカバーからのエンジンオイルにじみが見られましたので、スパークプラグ交換と共に処置します。
水平対向エンジンは、ロッカーカバーを外すのも、スパークプラグを交換するのも左右のフレームに阻まれて作業スペースがとても狭く、宛がう工具が限られます。
スパークプラグの交換には、ダブルスイブルの専用ソケットを使うと迅速で確実な作業が約束されます。
ロッカーカバーを取り外して見えるエンジン内部は、全く汚れの付着がありませんでした。定期的にエンジンオイル交換していても一般的なエンジンオイルでは茶色い付着汚れが見られますが、MOTULは違います。
タイヤ交換も承りました。
元装着されていたブリヂストンのエコピアは、とてもバランスのよいタイヤですが、摩耗が進んで雨天時の排水性に不安があったとおっしゃいます。
今回のお客様のチョイスはコンチネンタルです。
タイヤの縦溝が欧州タイヤらしく幅広で、排水性能に期待が持てそうです。
ホイールバランサーに掛けた数値と回り方の印象では、タイヤホイールのアンバランスは少ないようです。欧州タイヤに時々見られるハイウェイシミーが出ないことを祈ります。
2年前に装着したショックアブソーバ、KYBスーパースペシャルはすっかり馴染み、オーナー様は、当初より減衰調整を前後それぞれ1段ずつ上げて使用しておられました。コンチネンタルとのマッチングはいかがでしょうか?またその後の感想などお聞かせください。
次回『レガシィツーリングワゴン10万キロ目前の車検整備(その2、TA-BH5 EJ20ターボ、タイミングベルト交換編)』に続く。
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