黄ばんだヘッドライトをできるだけ綺麗にしてみた(その2)

前回の記事をご覧になった懇意の同業者様が、「ほんとに簡単に綺麗になりますから、是非一度試してみてください。」とお貸しくださいましたのは、僕も気になっていた『ヘッドライトスチーマー』です。

ヘッドライトのレンズの素材が、ガラスから樹脂(ポリカーボネート)主流になり、経年で黄ばみが現れます。ヘッドライトが茶黄色に曇っていると、クルマ全体がとても古く見えてしまいます。


曇りは、主に紫外線による樹脂の黄変。これを簡単に綺麗に蘇らせると謳うヘッドライトスチーマーを検証してみました。

注)樹脂レンズ内部に亀裂が深く進行したものや、内側から白く曇るものは、思ったような改善が得られないことがあります。

キットの内容は、市販のホットドリンクウォーマーに、2種の付属ノズル。電源を供給するACアダプターとシガーライターソケット。そして、界面張力の小さそうなブルーの液体が入ったアルミボトルです。

ブルーの液体をドリンクウォーマーで温め、発生した蒸気をヘッドライト表面に当てることで、極表層を溶解させて整える仕掛けです。

ヘッドライトのレンズ素材は耐衝撃性に優れるポリカーボネートですが、有機溶剤に比較的弱い性質がありますので、それを積極的に利用したキットだと思います。

ブルーの液体には、ラベルも説明書きもありません。離れていても感じる甘い臭気は、おそらく塩素系の有機溶剤(ジクロロメタンなど)でしょう。もしそうだとしたら、色々と危険を言われる物質ですので、作業環境は十分な換気と、作業者は防毒マスクなど保護具装着は必須です。

表面にひび割れができたヘッドライトレンズ。こちらは20年以上の車齢です。

下処理は、前回作業と同じ。目の細かい耐水ペーパーで黄変した層を削り落とすことから始まります。この下地の作業が仕上がりを左右しますので、地道な作業ですが時間を掛けて入念にします。

ドリンクウォーマーにブルーの液体を注ぎ、電源を入れて数分でノズルから蒸気が出るのを確認。耐水ペーパー処理で曇ったヘッドライトに当てます。

蒸気が当たるや、一瞬でムラなく綺麗に仕上がるのには驚きました(動画撮影いただきましたお客様に感謝申し上げます)。

部分的に曇りが取れないところは、下処理が不十分だったところです。もともと厚いコーティング層のあるヘッドライトは全てを綺麗に剥離しないとよい仕上がりは得られません。

現在、液体の成分分析依頼中。

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