カテゴリ: メンテナンス一般

(続)「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その2)~

輸入車には、内装部品の表面塗装が劣化して酷い「ベタつき」が発生する車種があります。

クルマが新しいときは、しっとりとした手触りなのですが、直射日光に当たる場所に置かれた場合など、早いもので5年(2回目の車検時)、条件のよい環境でも9年(4回目の車検時)で、内装部品の手に触れる場所がベタベタと粘性を帯びてきます。

魅力的な輸入車はどうも薹(とう)が立つのが早いといいますか、国産車にはほとんど見られない代表的な劣化の一つです。

このベタベタは、酷いものになると粘着性の黒いものが手に付着し、その手で衣服や他の内装部品を触るので、知らない間に黒い汚れがあちこちに移って汚してしまうのです。何とかしようとウエスなどで拭き取ろうものなら最悪で、繊維が表面に絡まって見るも無残、余計に表面の状態が悪化してしまいます。

これはまさに始末に負えない劣化で、このベタベタが原因でお乗り換えになられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

↓非常に環境の良い場所に保管されているアルファロメオMitoですが、4回目の車検(車齢9年)でホーンパッドがすっかりベタベタになってしまいました。

表面には妙な艶が出る上、何かが触れることを繰り返して傷のような模様が多数。そしてクラクションを鳴らすたびに顔が歪みます。

お客様は交換をご希望でしたが、新品のホーンパッドはエアバッグインフレータと一体になっていて非常に高価。しかも条件が悪ければ早期にベタベタになりますから、別の方法で処置することにします。

いくつかの薬剤を試しましたが、無水エタノールが取り扱いと仕上がりが良いようです。

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気を付けないといけないのは、ホーンパッドの柔らかい素材が無水エタノールに弱いことです。加減せずに拭き続けると素材を痛めてしまいます。べたつきのない艶やかな表面を作るには、まず長時間ホーンパッドに向き合う「根気」が必要です。途中で止めると、何もしなかったほうが良かったと後悔するような状態になるからです。

僕の場合、現在の習熟度で、満足のいく表面状態に仕上げるまで約8時間必要です。不慣れなときは丸3日間くらいかかったでしょうか。それでも新品価格はその工数を上回りました。中途半端な気持ちで取り組むと挫折しますのでDIY向きでないかもしれませんね。

続いて、同じくアルファロメオの別車種、ジュリエッタの内側ハンドルです。

乗降時には必ず手を触れる場所です。これも乗り降りの度に顔が歪みます。

ここは小さな部品でホーンパッドほど表面の状態にこだわらなくても外観に違和感が出ないと判断して、強めの溶剤で一気にベタベタを剥離して再塗装します。溶剤で他の部品を侵さないように養生を入念にします。

風合いや肌触りを調整した艶消しのウレタン塗装を様子を見ながら塗り重ねます。

速乾、速硬化のウレタン塗装は塗って5分も経たずに触れることができますので、手触りを確認しつつ塗り込みます。

とてもいい感じに仕上がりました。

さて、話は変わりまして、ここからは宣伝です。

鉄道写真家のお客様が個展を開かれることになりました。お撮りになったどの作品もすごく素敵で、僕もファンの一人です。当Webサイトのバナー写真もお世話になりました。

詳細は以下に掲載させていただきます。ご興味のある方は是非お立ち寄りください。

展示期間 : 2023年7月22日(土)〜8月5日(土)
場所 : jinimaru cafe (open 11:30am – close 6:30pm )