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気になる症状を総点検(TA-BH5 スバル レガシィ 足回り異音・車検整備)

前回記事『ガソリン臭の原因を探る(その2、スバル レガシィ TA-BH5 車検整備)』の続きです。

24ヶ月点検と継続検査代行(車検整備)でお預かりしておりますスバル レガシィ ツーリングワゴンです。アプライドモデルはBH5D5DD。スバル車は非常に細かく仕様が分かれていますので、アプライドモデルの確認が必要です。

平成14年式 TA-BH5 EJ208 5MT 走行距離 69,000km


今年の5月からご相談のありました左フロントからの異音。段差を通過するときに発生する場合としない場合がありました。最初のご来店のとき、不要と判断したストラットタワーバーといわれる追加補強材を取り外したところ異音が緩和された感じがするとお知らせいただいておりました。

各部サスペンションアームやステアリング機構のガタがないかを入念に点検しますが、異常が見当たらず、まだ点検が未実施だったショックアブソーバとアッパーマウントを今回、分解点検してみることにしました。

↓異音が発生していない右フロントのアッパーマウントです。

↓対して、異音発生のある左アッパーマウントは、ショックアブソーバロッドが固定されている中心部が大きく盛り上がっています。

アッパーマウントがおかしいのでしょうか?ストラット&コイルスプリングASSYを車両から離脱しました。

異音が発生している左側のアッパーマウント中心のベアリングはゴロゴロと引っ掛かりがありました。しかし大きな音を発生するほどのガタはありません。

コイルスプリングを専用の工具で縮め、ショックアブソーバを単体にして点検します。

スバル純正のビルシュタインは「倒立型」と呼ばれる高価なものが装着されていました。ショックアブソーバの車体側ロッドにアブソーバの主機構を収める構造で、バネ下重量が低減されることと、ロッドが太く、曲げ剛性が高いことに特徴があります。異音発生していたショックアブソーバのピストンロッドは、人力ではびくとも動きませんでした。レース用など一部を除き、反発力の高いものでも体重をかける程度で縮みますが、こちらは異常な状態でした。もちろん、右側の正常なものは人力で縮むことを確認。

動きが円滑でないピストンロッドに瞬時に強い力が掛かると、アッパーマウントのロッド固定側が車体固定側に干渉し、「ゴトッ」と不快な異音が発生していたのでしょう。このときはボディーに直接衝撃が加わっていますので、早期に正常な状態にすることが望ましいと思います。

今回、これほど固く動きが異常なアブソーバでも、市街地の乗り心地としてはさほど異常を感じないことに驚きました。ショックアブソーバより、マウントラバーの変形で概ねの乗り心地を感じているのかもしれません。今後の参考に現状の左右の微妙な乗り味を記憶することにします。

さて、追加でご依頼のありましたクラッチペダルストローク時の違和感。踏み込み途中で「カクッ」と不連続な部分があるとのこと。クラッチペダル機構は、簡単に取り外せますので、点検を兼ねて、支点部分の消耗パーツの交換を実施します。

ペダルの支点にはプラスチックパーツが使われていて、磨耗粉が確認できました。

クラッチマスターシリンダへ至る箇所と、クラッチペダルリターンスプリングへ至る箇所には圧入されたブッシュに僅かな磨耗が確認できました。

金属のブッシュ(カラー)は油圧プレスで丁寧に圧入します。

これらの微妙な磨耗が影響していたのかを確認するため、3箇所の支点をリフレッシュします。入庫時には特別違和感のあるペダルストロークではありませんでしたが、リフレッシュ後はさらに滑らかなフィーリングになりました。

最後に、エンジン回転がアイドリングに下がるとき、一旦500rpm程度まで落ち込んで、規定回転付近まで回復する不安定な状態は、ストックしていた良品中古のエアフロセンサーと交換することで解消しました。新品を取り寄せ交換します。

異常の見られたエアフロセンサーは感知部の汚れが酷く、最近に取り付けられたと思われる純正エアクリーナから察すると、前オーナーが社外品の空気通過量の多いエアクリーナを装着していた可能性があります。

その他、エンジンオイル、クーラント、ブレーキフルード、クラッチフルード、ミッションオイルなど油脂類を交換し、完調までショックアブソーバの交換を残すのみとなりました。純正のショックアブソーバは大変高価です。また、市販されているショックアブソーバの選択の幅が非常に狭いことが確認できています。いろいろご相談に応じますので、引き続きよろしくお願いします。

次回『KYB スーパースペシャル for STREET (TA-BH5 スバル レガシィ 乗り心地改善 ショック交換)』に続く。

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