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基本に則ったワゴンRの車検整備 (スズキ UA-MC22S)

半年前、社外品の補機ベルトが原因で耳障りな異音を発していたワゴンRです。純正ベルトを装着した後は、経過は好調で、継続検査(車検)の時期を迎えました。

平成14年式 UA-MC22S K6A 4AT 走行距離 51,000km

今回は法定24ヶ月点検を実施しますので、必要な部位は分解し、各部の状態を入念に確認しましょう。平成14年式ですから、僕が拝見するまでに何回か分解整備しているはずです。人の手が入ったところ、逆に手入れを怠っているところを中心に見ていく必要があります。


まずは、ドライブシャフトブーツの亀裂。左インナージョイントは完全に断裂して内部のグリースが飛散していました。

アウターも深いヒビが確認できましたので、ご説明申し上げ同時作業でブーツを交換します。

エンジンの点火プラグは、片電極貴金属のプラグです。交換時期については諸説ありますが、接地極のすり鉢状の磨耗を見る限り、新車から一度も交換されていない様子でしたので、今回は新調します。

サイドブレーキワイヤーをロワーアームに固定するバンドが千切れています。これも継続検査(車検)に不合格になる部位です。

廃材利用で、BMWのファンベルトを加工してみました。

さて、ここまで整備を終えて試運転を兼ね車検場に回送。

回送中、ある速度を越えるとリアからひどいうなり音が聞こえます。これは車軸から発するものでしょう。店に戻ってリアのハブベアリングを確認します。水分や粉塵の混入を防ぐためのスピンドルキャップは、マイナスドライバーを打ち込んだようなひどい変形でした。

スピンドルナットのゆるみ止めは不適切に「かしめ」られて一部に亀裂があります。

およそ規定トルクより過大なトルクで締められたナットは簡単に緩みませんでした。ドラム内部に圧入されているベアリングにはゴロゴロと引っ掛かりがありましたのでベンチプレスで抜き取ります。

内部に封入されていたグリースは外部からの水分の浸入で錆と混合されて赤茶色に変色していました。

新品のベアリングを逆の手順で圧入し、規定トルクでスピンドルナットを締結。最後に専用のタガネで一箇所を綺麗に「かしめ」ます。

この作業に付随して、リアブレーキも点検します。リアブレーキ前回の他所での整備記録簿にはブレーキオーバーホールの記載がありました。ところが、右リアのブレーキ液排出用プラグは六角の角が完全に潰れていて、これは固着した締結を解こうと工具を滑らせ、そのまま放置していたように見えます。

固着がひどいため、ホイールシリンダを取り外し、アンビルバイスにプラグを固定してホイールシリンダを優しく捻ってプラグの離脱に成功しました。

新品のプラグを装着します。

ブレーキのフィーリングも改善したようで、油圧系統に空気が噛みこんだままだった可能性もありますね。

各部適切な状態にできて、調子を取り戻したワゴンRは、MOTULのガソリン添加剤を併せてお試しいただくことになりました。キックダウンしても尚、上るのが辛かった長い登坂路を、アクセルをいっぱいまで踏み込むことなく上りきることができるようになりましたと、嬉しいご感想を車検直後に頂戴しました。

今回はたくさんの作業のご依頼、誠にありがとうございました。これからも定期的な点検整備をお受けになられ、末永くお付き合いください。

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