カテゴリ: メンテナンス一般

ドライブシャフトブーツ分割タイプの進化(スピージー、シスナージョイントシステム)

「これは使えそうだな」

と感じたのは、過日タイミングベルト交換で入庫した三菱デリカのドライブシャフトインナーブーツを見たときでした。僕が修理して1年3ヶ月余り経過していました。

修理に使用した品物は「スピージー」という商品名の分割タイプのゴムブーツ。

独立懸架の駆動軸に備わるドライブシャフトには、その両端に等速の自在継ぎ手があり、操舵やサスペンションの上下動に追従する仕組みです。比較的大きな角度がつくドライブシャフトの等速自在継ぎ手は、バーフィールド型とか、(特にインナ側には)トリポード型という形式で呼ばれ、それらは蛇腹ブーツで覆われて、内部潤滑のためのグリースの飛散と、外部からの砂塵や水分の浸入を防いでいます。

このドライブシャフトブーツの亀裂や損傷の点検は、定期点検時に行うことになっていて、破れていると保安基準不適合、すなわち「車検に通りません」。ドライブシャフトブーツの交換のためには、大変な分解整備を行う必要がありますので、時間、費用、労力節約のために、分解不要で作業可能な掲題の「分割タイプ」のブーツが市販されはじめたという経緯です。

さて、「スピージー」です。市販当初、施工の難易度が高かったことなどが要因で接合部の脱離やグリースのにじみなどネガティブなイメージのため、僕は使用を避けていたのですが、作業が難しいデリカのインナーブーツの設定があったのがきっかけで、お客様に了解を得て使用してみました。

結果は冒頭の通りで、とても安定した品物に改良されている様子がはっきりとわかりました。欧州など諸外国ではトヨタの赤箱に入れられ、「第二純正品」扱いでアフターパーツとして供給されているとのことです(日本国内ではタクティー扱い)。詳細は、メーカーWebサイトを参照してください。

今日、実はメーカー営業の方がお見えになり、大変詳しいお話を伺うことができました。僕の質問に余すところなくお答えいただき、さらにこの品物の印象がよくなりました。そして、是非、過去のイメージを払拭するために、商品名を「シスナージョイントシステム」に変更することを僕は強く要望します。