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そのタイミングベルト交換、間違っていませんか?(アルファ156 V6 2.5 E-932A1)

平成11年式 E-932A1 アルファロメオ 156 V6 2.5 走行距離144,000km

入庫時の走行距離は144,000km。タイミングベルト交換暦は他所であり、その距離は42,600kmと記録されていました。サービスデータでは85,000km毎の交換となっています。よくこの距離まで耐久したと思います。


タイミングベルトカバーを離脱すると、目立つ劣化のないとても良好なタイミングベルトが現れました。前作業者はペイント合いマーク式で交換していたようですが、実はその方法は間違った交換方法かもしれないのです。

↓カムブロックという呼び名の特殊工具です。一番シリンダ圧縮上死点をダイヤルゲージでぴちっと出した後、これを装着してカムシャフトを固定。カムスプロケットをカムシャフトから離脱すると位置決めがなく、タイミングベルトの規定張力を与えてから締め付けるという大変込み入った交換方法が取られています。

タイミングベルトの個体差を吸収しようという意図のバルブタイミング調整方法だと感じます。国産車の多くはカムシャフトとカムスプロケットの相対位置はノックピンなどで決まっています。こんな面倒な調整など必要ありませんがタイミングベルトの個体差でバルブタイミングはある大きな較差で組まれることになります。

カムブロックを装着するためにはバルブカバーを開けなければいけません。サージタンクやその他付随パーツの離脱を行います。アルファロメオはどのエンジンも同様のバルブタイミング調整です。安い作業工賃の場合は注意が必要です。

現状のバルブタイミングを確認しました。1番シリンダ圧縮上死点はプラグホールからダイヤルゲージをセットして精密に測定します。結果、奥側バンクの吸気カムシャフトに遅れがあり、カムブロックがぴったり入りません。

手前バンクの吸気カムもカムブロックは装着できるものの、遊びの範囲で若干の遅れがありました。

こちらの156、最初にご来店いただいた2年余り前、6000rpm以上の高回転域で回転フィールに違和感を感じていました。どうやら吸気タイミングにズレがあったのが原因のようです。このバルブタイミングのずれは、ほとんど不調を感じません。正規のバルタイで調整した組み上がりがとても楽しみになってきました。

少し手間はかかりますがせっかくですので、古いタイミングベルトでバルブタイミングを調整し、新しいタイミングベルトに交換した後の誤差を検証しました。タイミングベルトの個体差が、アルファエンジンのシビアな調整にどの程度影響するか確かめたかったのです。

結果、大きくずれてしまうのでした…

新車時にバルブタイミングが狂って組まれていると噂されるアルファロメオのエンジン。今回それがはっきりとわかりました。アルファはエンジンに当たり外れがあると言われますが、それはバルブタイミングの狂いであって、エンジンそのものの機能にばらつきがあるのではないかもしれないのです。

想像以上にシビアなバルブタイミング調整。開店時間中の回転の速い作業の合間や、雑音の中ではとても集中して作業できません。静かな深夜の時間帯にシャッター降ろして作業に集中します。こんなに何回も何回もクランクシャフト回したタイミングベルト交換初めてです。

不慣れなのもありますが、いい加減に組めてしまうアルファロメオのエンジンは組み手を選びます。新しいタイミングベルトを張って、クランクシャフトを2回転。テンショナーの張りが微妙に変化しますから専用のテンショナーツール(張り調整工具)で微調整をし、さらにクランクを2回転。

テンショナの張りがバルブタイミングに影響し、再度テーパー勘合しているスプロケットを専用プーラーで離脱。狭いスペースに特殊工具をバラし、一つ一つの部品を知恵の輪のように入れて中で組み立てます。そしてスプロケットを引き抜いた後、狭いスペース内でばらばらに分解してひとつずつ取り出します。

カムブロックがぴたりと合う位置でスプロケットを締付→再度クランクを2回転しますとまたテンショナの張り位置がずれていますので、再調整。クランクを2回転しますと、またバルブタイミングが微妙にずれます。これを延々繰り返して精度を上げていきます。気に入らなければ、何度でもこの時間のかかる作業を行います。無心にならないと気負けします。

そしてようやく納得のいく調整が完了し、バルブタイミングがピタリと合った調律のとれたエンジンは想像以上。予想通り6000rpm以上の高回転域でピックアップがまるで違いました!

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最終チェック完了後、オーナー様にお渡し。快音を奏でながら千本通りを駆け下りて行きました!
早速高速道路で長距離ドライブされます。高速走行時の感想お待ちしております。

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