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BMW E46 325i エンジン、エアバッグ警告灯点灯、クーラント漏れ修理(GH-AV25)

BMW E46 です。エンジン警告灯、エアバッグ警告灯が点灯したまま、また、LLC(ロングライフクーラント)が減少するということで修理依頼を承りました。

平成13年式 GH-AV25 走行距離 67,000km


まずは一番重要なLLC減少の点検です。こちらのお車はLLCレベルセンサーがついています。運転者に知らせる仕組みですのでオーバーヒートには至らず、都度お客様ご自身で水道水を補充されていたようです。

何度も水道水でLLCを希釈すると、LLCの防錆性能が著しく低下しますので、本当は規定濃度のLLCを補充しないといけません。水道水補充はあくまでも緊急回避です。水道水のみを補充した場合は、できるだけ早く漏洩箇所の修理を行い、LLCを規定濃度に調整しないといけません。

肝心の漏洩箇所は、E46のウィークポイント、サブタンク側面のクラックだろうと高をくくっていましたが予想に反してサブタンクは新しいものに換装済みでした。さらに観察すると、サブタンクの上面にLLCが溜まっているのを不思議に思い、まさかエア抜きバルブが緩んでるのではと、ドライバを宛がって少し緩めると…

何と内部で破損していました(汗)

よく今年の猛暑をこんな頼りない状態で乗り切ったと思います。故意ではないでしょうが明らかに前回作業で点検及び、当該箇所の交換を怠った結果です。エア抜きバルブはラジエータアッパーホースと一体になりますので、こちらを交換することにしました。

↓金属製のブリーダーバルブが販売されているようです。

次に、スキャナーを接続し、エンジン警告灯とエアバッグ警告灯点灯の理由を探ります。

まずDME(エンジンコンピュータ)に接続しエラー情報を呼び出します。

バンク2(後ろ側3気筒)のO2センサー検出値がリッチに偏っていたという結果です。

クリアしますと現在のエラーは無くなります。

排気ガスがリッチになる要因はいくつか考えられます。O2センサーそのものを交換してもエラーの要因を取り去ったことにならない場合がありますので、まずはO2センサーの稼働状態をモニターします。

このテーブルは、完全暖機後、停車アイドリング時のものです。すべてのO2センサーの状態がグリーン表示となり正常に機能している様子がわかります。

スキャナーを接続した状態で1時間半ほどいろいろなパターンで試運転しましたが、O2センサーがリッチ寄りの異常を再検出することはありませんでした。もちろん、お客様にお渡し直後に再発する可能性もございますが、ご説明申し上げ、本件は一旦ペンディングとしました。

最後にエアバッグ警告灯です。

E46で発生頻度の高い助手席占有センサー(着座センサー)の不良です。正規の着座センサーを交換すると工賃含めて高額な費用が必要です。常に着座状態を作ることができるダミーセンサーが市販されている情報がございましたので、市販されているなら自作してみようと、チャレンジしました。


いつもの電子パーツ屋です。

ちょっとオーバースペックでしょうか金属皮膜抵抗をチョイス(笑)その他、電子素子もできるだけトラブルのないようによいものを選びました。

↓ショート防止にケースに組み込み、純正コネクターにギボシ端子で接続

↓シート座面裏側にタイラップで固定します。

イグニッションONでエアバッグ警告灯は無事消灯しました。

表面上は警告表示無しですが、↓過去のエラーとして記憶されますのでこちらの消去をわすれずに行います。

今回お預かりし、作業した内容は以上です。エンジン警告が再点灯しましたらお知らせください。LLCが少なく、水温センサーが実際の水温より低く検出し、燃料を増量していた可能性もございます。この度はご来店誠にありがとうございました。

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