水温計の針が高い位置になるとお預かりした 三菱トッポBJ。
中央よりずいぶん高い位置を指しますが、振り切るほどではありません。オーナー様は、オーバーヒートを懸念してエアコンを稼働させずにしばらくお過ごしでした。
平成10年式 GF-H42A 3G83 4AT 走行距離 164,000km
しかし、エアコンONでクーリングファンが作動するとエアコンはよく効くし水温計の針も中央付近で安定します。
一方、エアコンOFFの場合、しばらくアイドリングしていると、クーリングファンは弱々しく回転し、ほどなく停止します。その時、水温計の針は高い位置を指します。
ファンモーターの傍らに付くコントローラか、エンジンECUからの制御信号、もしくは水温センサーの出力が不適切なのでしょうか。
ファンモーター&コントローラASSYのコネクタ内部を見ると緑青が浮き出ています。懇意のリサイクルパーツ屋さんにお願いして中古のファンモーター&コントローラASSYを拝借して交換。
ところが、状況に変化はありません。弱々しく回るクーリングファンは正常動作のようです。水温センサーの抵抗値単体点検の結果は良好でしたので、同じく中古のエンジンECUを交換しますが、状態は変わらず。
知人が提供してくれた同型車のメーターパネルに交換しますが変化なし。
サーモスタットの動作も良好でした。
多事にかまけて、当てずっぽうの部品交換という、非常に良くない典型的な作業をしてしまいました。
気持ちが落ち着く時間に診断することにします。
最初に確認することは、本当にオーバーヒートしているかどうかです。
外部診断機の表示値(エンジンECU)、ラジエーターキャップ付近の温度計による計測値、それぞれのメーターの針の位置を確認します。
トッポBJの3G83エンジンの場合、ECU用の水温センサーと、メーター用の水温センサーは別です。先に確認したのはECU用の水温センサーの抵抗値でした。
外部診断機の水温が94度から95度になるとき、水温計の針はたった1度の違いでぐっと上を向きます。
95度というと、サーモスタット全開時の温度ですから通常域。実際にオーバーヒートしているのではなく、水温計の指示が正常でないことがわかりました。
メーター本体は先の部品交換で正常を確認していますので、新品の水温センサーを取り寄せて交換。
正常な水温表示に戻りました。
《追記》
交換前に新旧の抵抗値を比較しましたが、有意差はありませんでした。
水温計センサーの端子周りが汚れていましたが、鍋で煮ているうちに綺麗になりました。すでに確認できませんが、導電性の付着物がセンサー出力を乱していた可能性があります。