ダイハツの特定の車種でシフト操作が突然不能になる事例があります。
シフトレバーとトランスミッションを繋ぐワイヤーケーブルのシフトレバー側接続部の樹脂が劣化粉砕して物理的な接続が絶たれてしまうというものです。
平成19年式 DBA-L175S KF-VE 4AT 走行距離 160,000km
以前、当方で経験した事例は、遠方のお客様のご自宅駐車場でのシフト操作不能(走行距離は9万キロ程度)でした。
お近くの修理工場でワイヤー交換の処置を受けるも、複雑なワイヤーケーブルの取り回しが不適切で、シフト操作が円滑にできなくなり、最終的に僕が手直ししたというものでした。
シフトレバー操作感の回復(DBA-L175S ダイハツ ムーヴ 4AT シフトワイヤー不調)
脱落個所は、いわゆる「リンケージ」です。同様の構造は、操作性向上のため、内部に樹脂やゴムが使われているのですが、例えそれが劣化して、勘合が甘く節度が損なわれたとしても、割ピン&ワッシャーのような金属部品がリンケージの完全脱落を回避する構造になっているものが多いです。
ところが、こちらの脱落事例のリンケージ部は、シフトレバー側にある金属の突起に樹脂が単に勘合しているだけ。ボールジョイントのような形状だったらまだ安心ですが、こちらはシャフトに若干の抜け止めの段差があるだけです。部品点数が少なくなり、組み立ても容易なのですが、劣化や摩耗が免れない樹脂に頼りすぎの危険な構造。回収改善修理を行う事例に思えて仕方ありません。
特定の車種にトラブルが偏っているのはワイヤーの取り回しの加減で、破損部に掛かるストレスが違うからだと思います。
今は樹脂部分のみの供給が受けられるようにはなっていますが…(以前にはなかった?)
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