今年の6月は記録的な猛暑が続きました。
経年車、多走行車にとっては過酷な季節が1ヶ月以上前倒しです。
往年の名機、タイミングベルト式のEFエンジンを搭載したダイハツ タントは、突然のエンストと再始動不能のトラブルに見舞われました。
平成18年式 CBA-L350S EF-VE 4AT 走行距離 105,000km
原因はオルタネーター(発電機)に内蔵される整流用ダイオードのショートでした。
充電不足に加えて、エンジン停止時にも大きな電流が流れ続けるので、一気にバッテリーの蓄電を消費して再始動不能に陥ります。
厄介なことに、このパターンの故障は、充電系統の異常を報せるチャージランプ(バッテリーのシンボル)の点灯がエンスト直前まで起きません。
トール系パッケージの先駆けとなったタントのエンジンルームは、車室の広さを確保するために狭く、ワイパーモーターが収まるカウルトップがエンジンルームの1/3ほどを覆うようなイメージです。
「整備性」という観点が失われてしまうのではないかと思う近年の自動車。写真では非常に狭く見えますが、これでも同種の軽の中では比較的作業の手が入る方なのです。
エンジンの脇、バルクヘッド側の下方にオルタネーターがあります。
リビルトオルタネーターを用意して交換作業を進めていったところ、ピンクのクーラント滴が目に留まりました。
クーラントが液状にポタポタ滴り落ちるようでは、対処は必須。
漏洩の痕跡から源を辿ると、一見ウォーターポンプハウジングとシリンダーブロックの接合面からのように見えます。
しかし、こちらのエンジンは数年前にウォーターポンプを交換済でその可能性は低く、幸いにして再注視する機会を得ました。ウォーターポンプ交換歴がなかったら疑いなく間違った作業に着手していたでしょう。
鏡を使ってウォーターポンプのさらに上を見ると、樹脂製のインテークマニホールドの周辺からクーラントが滲みだしているのが確認できました。
このエンジンはシリンダヘッド側面にクーラント通路の一部が開いていて、インテークマニホールドの一部で蓋をするような構造になっています(下の写真はインテークマニホールドを取り外したシリンダヘッドを側面から撮影)。
車載状態でインテークマニホールドを離脱するために、今回交換するオルタネーターだけでなくスターターモーターも取り外すと、狭い場所ながら格段に作業性がよくなります。
大きな黒い樹脂パーツがインテークマニホールドです。
クーラントの熱でグニャリといびつに変形し、漏れが発生していたラバーパッキンです。
ショートしたオルタネーターのダイオードも、変形していたインテークマニホールドのパッキンも、狭いエンジンルームの熱の影響が大きかったのかもしれません。
そんな過酷なエンジンルームですが、良質のエンジンオイル、スパークプラグやクーラントの定期交換など、基本的なメンテナンスを行うことで比較的涼しい環境にすることが可能です。
そのおかげで車齢16年、10万キロ超のタントが、この猛暑の6月までなんとか持ち堪えていたのかもしれません。
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