お世話を始めて5年目になりますアルファロメオ 916 GTV。
オーナー様はこの年代のGTVが憧れだったとのことで、念願叶って走行距離が少なめの中古車両を入手されました。
いつまでも愛車を傍らに置きたい反面、Webで情報が行き交う故障不具合とその費用、供給が次々終了する純正パーツの心配が絶えないことと思います。入手されて間もないころは、あれこれ心配するよりタイミングベルトが切れて動かなくなる瞬間まで楽しめればそれでいいと、刹那的な心情を吐露されていました。
単にプロダクトとしてみたアルファロメオは、脆弱で排他的。
一方、多くの国産車は故障とは無縁で、分解組み立てが容易。何十年も主要部品供給があるのと違いは明白です。
2001年式 GF-916C1 V6 3.0L 6MT 走行距離 113,000km
年間1万キロほどの走行距離を順調に重ねられて11万キロに達し、以前は聞こえなかった走行ノイズが気になるとご相談を受けました。
調べると、国産車でも特別珍しくないハブベアリング損傷による異音でした。
幸い1台分だけ国内に純正部品の在庫がありましたので、早速手配して交換します。
融雪剤散布地域の走行があったせいか、インナーベアリングレースが強く固着していました。ベアリングセパレータが干渉することなく取り付けられましたので、車上で難関を回避。
新しいベアリングの内部に、少し不足気味に見えるグリースを足して組付けます。
↓アルファのV6エンジンにはSAE10W60が指定されています。良質のエンジンオイルで定評のあるMOTULの同一粘度品
試運転して異音は問題なく解消しているのですが、エンジンルームからエンジンオイルのわずかな焦げ臭気が気になります。
原因は奥バンクのブローバイホースのシリンダヘッドカバー接続部でした。
クランク状のラバーホースはとうに供給終了になっていて、タイミングベルト交換時には離脱するホースなのに供給の不自然さが際立つ一例ですね。
無いものは仕方がないので、工夫して作ってみました。
屈曲部は、水道用SUS316フレキシブルジョイントを。そして、ストレートの短い耐油ホース(ブリヂストン製、1メートル単位の長尺)を、シリンダヘッドカバーとオイルキャッチタンクの2箇所への接続に使用しました。
SUS316の鈍い光沢と、純正のホースクリップを再使用したことで、エンジンルームの美観を損ねることなく、綺麗にまとめることができました。