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クーラント減少の早期発見とオーバーヒート予防(アルファ147 TS1.6 ラジエーター交換)

エンジンオイル交換でご来店の際、ボンネットフードを開けて最初に確認するクーラントレベル。

前回のご来店時から8千キロと少しの走行距離でMINを下回り、クーラント経路に漏れがあることを示唆します。


平成21年式 ABA-937BXB ツインスパーク1.6リットル 5MT 走行距離 43,000km

エンジンルーム前端付近から漂うクーラント独特の臭気の源を辿ると、ラジエーターコアからのクーラント漏れでした。

ラジエーターとエンジンに大きな間隙があるので、作業は一見容易に感じますが、ラジエーターだけを取り出すのは困難です。ラジエーターは、エアコンコンデンサーとラジエーターファンに挟まれる格好でフロントエンドモジュール化されていて、新車組立時には都合が良いのでしょう。

この構造はエンジン型式にかかわらず、アルファ156やGTも同様です。

フロントバンパーフェイスを取り外し、ラジエーターに固定されているエアコンコンデンサーのビスを緩めて宙づりにし、エアコンガスを抜かないように配慮します。

エアクリーナーボックスも若干の移設をし、ラジエーターロワーサポートにラジエーター本体とクーリングファンを載せたまま、下方に離脱。

自動車製造時の組み立てが容易なラジエーターホース接続部は、BMWもよく似た構成です。

ホース側ジョイントに内蔵されたOリングは単体での供給がありませんので、新品のホースASSYを取り寄せました。痩せて変形したOリングの再使用は避けたいからです。

そして、ホースジョイント接続先のラジエーターも、勘合部のサイズに不安がある社外品ではなく、やはり純正品を使うことにしました。MADE BY VALEO のITALY製。

車齢9年、走行距離5万キロ未満でのラジエーターの不具合は、現在の国産車を標準とすると短命な印象がありますが、世界的には標準レベルです。かつて始業点検必須だった頃の国産車がそうだったように、10年近く使用したラジエーターの老朽は極めて自然な劣化です。

《参考記事》17年 26万キロ耐久したラジエーター(トヨタ クラウン E-JZS151)
《参考記事》ローコストメンテナンスの車齢20年(トヨタ カローラ E-AE100 車検整備・ラジエーター交換)

それ以上の「不自然な」構成部品の耐久性は、安全運行に対する運転者の意識を鈍らせることになり、あえて求める必要がないことなのかもしれません。

人間の五感を刺激して飽きさせず、次期モデルには必ず魅力的で新しい提案のある輸入車を見ると、自動車作りに向けるパワーの配分が随分違うように感じます。

クーラントが漏れていたのはラジエーターコア両端のパッキンからでした。

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