マニュアルミッションを油圧ロボットが運転者の代わりに操作するセミオートマチックは、アルファロメオの場合「セレスピード」と称されます。
平成20年式 937AB アルファ147 セレスピード 走行距離 75,000km
初めて拝見するアルファ147です。店の中に入れるため、リバースギアでアクセルを少し踏みますが、自動クラッチが接続される感触がなく、さらに踏み込むと、エンジン回転が上がった状態で「半クラ」のまま動き出すという状態でした。
オーナー様に伺うと、中古車で購入した時からのようで、イタリア製のカラクリはこの程度だと思っていたとおっしゃいます。
また、完全機械任せのCITYモードでは、特にシフトアップがぎこちなく、変速が完了してクラッチ接続するまでしばらくの間アクセルから足を離していないと、クラッチが滑って動力が伝達できない状態でした。こちらについてもアクセルを離す操作を習得(?)されていた様子でした。
セレスピードのコントローラーには自己学習機能が備わっているようなのですが、クラッチの摩耗に伴うレリーズレバーとクラッチシリンダの遊び調整までは対応できていないようで、メカニカルな調整が必要です。
このような特殊工具(SST)があります。
これをセレユニットのクラッチシリンダに装着し、レリーズレバーとプッシュロッドの遊び調整をします。
SSTがない状態だと、クラッチシリンダの内圧を抑えることができないので、どの調整位置が適切かわかりません。診断機のクラッチトラベルの値はあくまで結果を確認するのみです。逆に言うと、クラッチトラベルの値が診断機でわからなくても、SSTで良い場所まで調整が可能です。
こちらの147はクラッチ調整後、「まるで別のクルマに乗っているようです。」と、とてもうれしい感想を頂戴しました。
本来はアクセルを踏んだままでもコントローラがアクセル操作を緩めて円滑にシフトアップします。半クラが発生したまま使用を続けるとクラッチ摩耗を進めますので、早めの調整が良いでしょう。
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