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完調のツインスパークを求めて(アルファ156セレスピード タイミングベルト交換)

車齢が10年を経過すると次々純正部品の供給が終了し、消耗パーツでさえ入手が困難になる同社のクルマたち。艶のある吸排気音を聞くたび、いつまでも愛車をそばに感じたい気持ちと、部品入手や故障、突然の離別の心配が交錯する毎日を送るオーナー様も多いのではないでしょうか。

平成13年式 GF-932A2 アルファ156 ツインスパーク2.0 セレスピード 走行距離 99,000km

今回お預かりしたアルファ156は、初めて拝見してからちょうど4年が経ちました。4年前当時、走行距離は約7万キロ。足回りからの異音が酷く、ショックアブソーバと共にサスペンションアームをリフレッシュしました。


その後、僕は何台かのツインスパークのタイミングベルト交換をし、調子の良い回り方を知るようになると、こちらの156のエンジンが少し元気がないように感じるようになったのです。

完調のエンジンが搭載された同型の156オーナー様のご協力で乗り比べをし、明らかに差があることを確認しました。タイミングベルト交換済で中古車購入されたとのことでしたが、どのような手順で組まれたか、果たして純正部品を使用しているのかなどの疑問解消の目的と、いつ訪れるかわからない別れの前に、本当のツインスパークを知りたいとのご要望でタイミングベルト交換を実施することになりました。

作業開始直後、クランクプーリーが少し外れにくいと思ったら、その奥のバランスベルトプーリーとの勘合箇所に大きな欠損が見つかりました。

4本のボルトで固定するクランクプーリーが浮いたまま不均一に締め付けたのが原因でしょう。丁寧とは言えない作業の一端を見て、主要部の確認を急ぎました。

1番シリンダ圧縮上死点で、吸気カムシャフト、排気カムシャフトの指定の場所に宛がう特殊形状の工具は、予想外にぴったりと合致して、特にバルブタイミングが大きく違っている様子はありませんでした。

タイミングベルトテンショナーの張り加減に、僕が再調整したものと違いがあった他は、特に問題なく、新しいバランスベルトプーリーを介してすべてのベルトを組み上げました。

お渡し当日、早速オーナー様にハンドルを握ってもらいます。

 

「こんなに違うんですね… ちょっとびっくりしました。」

 

と、千本通りを下がる試運転直後のご感想。今までに感じたことのないトルク感と、ツインスパークの咆哮に満足いただけた様子でした。

少し滑りの発生していたクラッチ補正の目的で、規定外のクラッチトラベルの調整を施したのと(診断機の表示は調整前)、フェーズバリエーターソレノイド奥のスプールバルブに手を加えた相乗効果があったのかもしれません。

V型のアルファエンジンと比較し、メインコンポーネントがフィアットだからアルファのエンジンとは違うのだ、という論調を目にすることがあります。しかし立派なツインカムヘッドを搭載したツインスパークは紛うことなきアルファエンジン。
 

「すっごくアルファロメオらしいですね!!」

 
とおっしゃるオーナー様の一言が全てだと思います。

↓僕も読んでいるメンテナンスブックです。アルファオーナー様におすすめの書籍です。

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