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ABS警告灯点灯の意外な原因(スズキ Kei, GF-HN11S)

走行してしばらくすると、周期的な異音とともにABSの警告灯が点灯するとのことでお預かりしましたスズキ Kei です。

平成10年 GF-HN11S F6Aターボ 3AT 走行距離 66,000km


スタッドレスタイヤに交換直後の不調でしたので、作業の不手際があったのかと肝を冷やします。ご来店時にはABS警告灯は消灯。すぐに試運転しますが周期的な異音も解消していて、その他気になる異音などもなく快調でした。

エラーログをG-Scanで呼び出します。

「C1036 ホイールスピードセンサー系統特性異常RL」

滅多に不調に陥ることのないホイールスピードセンサー(車輪速センサー)です。交換の前に目視点検することにしました。
四輪駆動のKeiのリアサスペンションはリジッドアクスル。ホーシングに内蔵されたアクスルシャフト車両外側末端付近にホイールスピード検出部があります。

磁性を帯びたセンサー先端には、夥しい量の金属片がドロドロに汚れたベアリンググリースと混ざって付着していました。一体何のパーツが粉砕したのでしょう。

アクスルシャフトを車両から離脱して、内部に残ったままになっていた金属片を見て、それがベアリング鋼球を円周に等間隔に配列させる保持器(リテーナ)であることがわかりました。

保持器がない状態のベアリング鋼球は、お互いが接したり、また、場所によっては隙間が空きすぎていたりするのですが、インナー、アウターのレース上を滑らかに転がって脱落も焼き付きもせずに転がりを確保していたのです。異常のあった左リアの車輪を空回ししても極めて円滑に回転するものですから、簡易点検での発見は難しいと思います。

ABSの備わらない同社同種構造車では、わからないまま走行している場合があるかもしれません。
圧入されたセンサープレートとベアリングは、いつものように一部をグラインダーで平らに薄く削り取り、シャフトに到達するギリギリの厚さに達したところでタガネで亀裂を入れて圧着を解きます。

供給されたベアリングは、内外ともオイルシールの備わるものに変更されていました(元装着品はアウターオイルシールのみでした)。ABSセンサーのギアの幅も変更されています。油圧プレスで丁寧に圧入して修理完了です。

《編集後記》

松井酒造株式会社
京都は伏見の酒蔵が有名ですが、松井酒造さんは洛中にある数少ない酒蔵です。現地に行くと驚くのが、近代的なマンションの一階が店舗、地下1階が酒蔵になっていることです。日本酒のおいしい季節になりました。

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