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前照灯試験(ヘッドライト検査)と保安基準《その3》

前回記事『前照灯試験(ヘッドライト検査)と保安基準《その2》』の続きです。

継続検査(車検時)の前照灯試験(ヘッドライト検査)は大変厳しい審査です。僕は現在まで、日常業務に支障が出ないよう、工夫しながら不合格率を0.005%未満に抑えてまいりました。

ところが、2015年1月付、自動車検査法人名で以下の広報がなされ、前照灯試験(ヘッドライト検査)に臨む準備が一変しそうなのです。
前照灯試験機の選択について
~平成10年9月1日以降製作車のすれ違い用前照灯検査~

この広報は、当分の間ハイビーム検査であったものをロービーム検査に移行する内容でした。

ご承知の通り、ヘッドライトにはハイビーム(上向き)とロービーム(下向き)があります。道路運送車両の保安基準ではハイビームのことを「走行用前照灯」、ロービームのことを「すれ違い用前照灯」と呼びます。道路運送車両法制定当時、現在とは桁違いに少なかった国内の自動車保有台数事情を反映した呼称です。

そして現在、自動車の夜間走行は、ロービーム(すれ違い用前照灯)が主体になり、平成10年9月1日以降製作車は、ロービームを基準とした構造ですから検査もロービーム計測が妥当です。ロービームに対して保安基準に定められた性能要件は「夜間前方40mの交通上の障害物を確認できる性能を有すること」です。この要件を満たすための計測・審査判定基準が以下に細かく規定されています。

↓ロービーム配光の一例

しかし、16年余りもの長期間、車検場での前照灯試験が(申告のない限り)ロービーム計測になりませんでした。その理由は、全国の検査場や民間車検場でのロービーム計測可能なテスタの配備が遅れていたからとのこと。

僕がロービーム計測を意識しだした平成19年当時、京都運輸支局内の車検コースでは全てのコースで、申告すればロービーム検査が受けられる状態でしたから、妥当な検査方法だとの認識で、車検コース入場の度に申告して、積極的にロービームでの検査に臨みました。

しかし、基準範囲内に調整しているつもりが 20% を超える不合格率に悩みます… 
同じヘッドライト計測でも、ハイビームとロービームでは、計測方法に根本的な違いがあり、大きな計測誤差を生じる可能性が浮かび上がってきたのです。

車検コースで不合格になると、再調整の後、再検査になり、同日中の検査は合計3回までしか受検できません。何より時間的に日常業務に支障をきたしますので、合格率優先でハイビーム測定に戻したのですが、今年2015年9月1日以降は難しいロービーム調整を施して受検することになるのです。

次回『前照灯試験(ヘッドライト検査)と保安基準《その4》』に続く。