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アルファロメオ156 V6 2.5 段差通過時異音、燃料ポンプノイズ修理(E-932A1)

アルファロメオ156 V6 2.5です。初めてご来店いただくお客様です。

「特に冷えている時の乗り始め、しばらくの間、路面の段差通過時に キュ、キュ… と前方からゴムが軋むような異音がする。
また、以前に燃料ポンプ付近の修理を他所でしてから、後部座席の方からラジオのノイズのような『シャー』っという音がするようになった。こちらも冷えている時に多くて、暖まると比較的気にならなくなる。できるだけ長く乗りたいと考えているので、その他、必要と思われる箇所はすべて交換してほしい。」

とのご依頼です。

平成10年式 E-932A1 6MT 走行距離約10万キロ

異音修理で重要なのは、お客様と一緒に音を確認することです。

まず僕がハンドルを握ることにしました。最初に気になったのは、停車アイドリング時の振動。エンジンマウントの劣化のようです。エンジン搭載位置が下がって、当たってはいけない場所にエンジンが干渉している様子です。エンジンマウントの交換は必須でしょう。

では、走行してみます。車はすっかり暖まっていましたので、段差通過時の異音も、燃料ポンプ付近からのノイズも、おっしゃる通り発生しません。残念ながら一緒に確認することができませんでした。

さらに試運転を続けます。情報を得るため、今までに行った部品交換やその時期などを詳細に伺います。足回りに関しては中途半端な部品交換で、スプリングアッパーシートやアッパーマウント、アッパーアームの交換が行われておらず、ロワーアームとショックアブソーバ、スタビリンクロッドの交換のみでした。

アルファロメオはゴムパーツの劣化がとても早く感じます。フロントサスペンションに手を入れる場合、ほとんどすべての部品を交換しないと、異音発生だけでなく、アルファロメオ本来の俊敏なハンドリングが戻りません。段差通過時異音発生原因は不明ですが、はっきりと悪い箇所はありますので作業のお見積もりをいたしました。

お客様の了承を得て、フロントサスペンションのやり残しのある部品交換とエンジン、ミッションマウント、トルクロッドの交換、さらに試運転時に気がついた低水温の症状→サーモスタットの確認、燃料ポンプについては整備暦が不明瞭なのでまずは現物を確認するということで作業を進めます。

まず、エンジンマウント、新旧比較です。

10mm以上変形しています。これではいらぬ干渉を起こしていたでしょう。交換後はビビリ振動がなくなりました。

次にフロントサスペンション。

交換されていたショックアブソーバはザックスでした。

このスプリングを改めて見ると少しのストロークで線間密着しそうです。こちらは日本仕様でアイバッハのダウンサスです。本国仕様とは車高もスプリングレートも異なると聞きます。

縮み側のロングストロークを生かした本国仕様が格好は悪くてもサスペンションとしては機能的に働くような気がします。ハンドリングが少し鈍感と感じるかもしれませんが、好みの問題かもしれません。

さて、次に音の確認ができなかった燃料ポンプ。リアシートを取り外してサービスハッチを開けると、比較的新しいポンプ本体が装着されていました。

ポンプの音も滑らかで特に不具合を感じません。

しかし、組み付け後、冷間時エンジンを始動しますと、確かに耳障りな「シャー」というノイズを確認。
再度分解します。観察すると、どうやら樹脂タンクがわずかに膨張してポンプブラケットが微妙にサービスハッチに干渉しているようです。

だからしばらく走行してタンク内圧が低下すると音が鳴らなくなるんですね。サービスハッチとボディーの隙間にワッシャーを数枚挟み込み、ブチルゴムで防水して干渉を防ぐ処置をしました。

サーモスタットは例によって開きっぱなして、新品に交換です。すべて組み付け試運転。冷えている時でも異音は発生しなくなりました。また、各部組みなおし、入庫いただいた時より、よい雰囲気に仕上がったと思います。その後の感想などお聞かせください。このたびはご用命誠ににありがとうございました。

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