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特別対談 「コルソマルケ×修理屋たけしくん」 ~クルマの楽しさと、共通する仕事観~ (後編)

前回『特別対談 「コルソマルケ×修理屋たけしくん」 ~クルマの楽しさと、共通する仕事観~ (中編)』の続きです。

 

軸力重視の締め付け法 ~トルクレンチは絶対か?~

コルソU氏: 強度区分を無視したボルトを代わりに付けてるクルマが時々あります。ネジ径とピッチ合わせただけでは、特に足回りなんかはむちゃくちゃ危ないんですが…

たけし: ありますあります。締付トルクが違いますもんね。それは故意ではなく、整備した方がよくご存じでないのかなと思ってます。

スナップオンO氏: あの、工具を販売する立場からの質問なんですが。皆さんはボルトの締付トルクはどのように管理されていますか?よかったらトルクレンチの使い方などお聞かせください。

コルソU氏: 僕はシリンダヘッドボルトの締め付けとか、エンジン内部の時以外はトルクレンチあんまり使わへんかなぁ。

たけし: 僕もUさんと同じで、トルクレンチ使うのは、ホイールナットやエンジンの主要箇所くらいですね。

スナップオンO氏: なるほど。ご承知のことと思いますが、トルクレンチは校正されたもので、ゆっくりと「カッチ」と鳴ったときが設定トルクです。けど実際の現場を見ていると、「カチカチッ」と2回鳴らしている方がすごく多いんです。2回ならまだ少ないほうで、「カチカチカチカチ…」って何回もやった上に、ホイールナットの場合なんか、それをもう一巡とか(笑)もうそれは、儀式やおまじないに近いというか…

たけし: Oさんのご苦労お察しします(笑) 正式なトルクレンチの使い方って案外知られていませんよね。規定トルクについてですが、場所や状況によって、規定トルクでは肝心の締結力(軸力)が得られないときがある気がします。規定トルク以上にボルトを回したとき、少し先に納得の「到達感」があったって経験ありませんか?

コルソ若手S氏: それめっちゃわかります!!

たけし:締付トルクと締結力の関係には、K(係数)が掛かっています。そのKはボルト座面の状態なんかで結構大きく変わる感じがします。規定トルクで組まれてるはずの新車組立時のボルトでも、予想より固く締まっていたとか、逆に緩く感じたとかありますしね。Kをできるだけ一定にするよう指示した(エンジンオイル塗布、ネジ部の清掃など)シリンダヘッドボルトとかは、トルクレンチ使用で規定トルクが確実だと思います。

コルソU氏: 僕は、トルクレンチは立派な計測器と思てます。正確な使い方はもちろんですけど、誤差も考えて行って初めて計測。タイヤゲージも然り、何を計測しているのかわからない使い方って本当に多いですよねぇ。それとは真逆で、一回借りましたけど、たけしさんは校正用のマスタータイヤゲージ、自前で買わはるんやからすごいわぁ。

スナップオンO氏: Uさん、あれは「趣味」。 決して業務上必要やったんやありません。ただの「趣味」ですから(笑)

たけし: (苦笑)

 


「日本の軽自動車」を誇りに思う

コルソU氏: 先日、お客さんのお知り合いでアメリカの方が来られたんです。店に置いているHA12Sのアルトワークスに興味を持たれたので、乗りますか?とキーを渡したら、むちゃくちゃ楽しい!ってすっごく喜ばれてね、お礼にカリフォルニアに来たらポルシェセンターのテストコースに案内するから是非連絡してくださいって(嬉) 日本の軽は、海外では無い規格やからゴーカート的面白さがあったのかもしれません。

たけし: ですね。僕のところではここ数年、軽自動車のショックアブソーバ交換がとても増えてます。それも走りを意識した車種やなくてごく普通の軽自動車が多いですね。新車価格を抑えるのが目的なのか頼りなく感じるアブソーバを、少し減衰力の大きなものに変更するだけで、「掌握感」といいますか、クルマを身に纏うような一体感が得られて、とても楽しいクルマに変身します。

コルソU氏: ですよねぇ。僕は恥ずかしながら「軽」なんてって思っていた時期が過去にありましたが、今は軽自動車めっちゃ好きです。

たけし: 第一に、国産車ですから品質が安定していて故障が少ない。メンテナンス性も抜群。それに比較的少額でいろいろなことが試せますし、身丈に合った衣服みたいですから試した結果もすごく分かりやすい。僕も軽自動車、大好きです。もちろん軽トラ、軽バンも含めてね(笑)

店員さん: すみません、ラストオーダーですが、他よろしいですかぁ?

スナップオンO氏: え?? あ、気が付けば、我々しかお客さんいなくなってましたね(汗) あっという間に閉店時間になっちゃいました。

たけし: ほんとですね(笑) 皆さま、お話は尽きませんが、今日は楽しいひとときをありがとうございました! また機会があれば是非ご一緒させてください。

 

《終わり》

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↓最後のお酒は、北川本家の富翁 純米。近年原酒が流行りですが、こちらは火入れ、調整後の通常のお酒。「甘酸辛苦渋」のバランスが最高の一本です。