色褪せない思い出を愛車と共に(VW 9Nポロ 車検整備にて)

初めてご相談のあったフォルクスワーゲンは、すでに車齢が10年を超え、走行距離も相応でした。

平成18年式 フォルクスワーゲン 9Nポロ後期型 走行距離 83,000km


多くの輸入車を拝見していますと、年中高湿度で寒暖差の大きい日本で使用した場合、車齢7年、もしくは10万キロどちらか早い方で大きな節目を迎えます。7年10万キロで十分とも考えられますが、同じ環境で使用する国産車の場合、それぞれ軽く2倍の耐用性があるのです。

新車から正規ディーラーでメンテナンスをお受けになると、車齢7年もしくは9年の車検整備で多岐にわたるメンテナンスを勧められることが多いと思います。それは、同年式の国産車と比較して同等にトラブルのないよう、経験上故障する可能性の高い箇所を未然に対処しておこうという配慮なのでしょう。

こちらのポロのお客様は、前回の車検時に多額の費用が必要だったとおっしゃいます。

僕は、初めてお目にかかるお客様と、車齢10年超の輸入車を前に、お引き受けするのを少しためらっていました。理由は前述の通り、お渡し後の2年間トラブルフリーの約束がとても難しいからです。

 

「あと2年乗りたいのです。母との思い出があるクルマなんです。」

と、僕の説明が一通り終わろうとしたとき、大切な気持ちがたくさん詰まったお車だということを教えてくださいました。そんな優しさで新車からお乗りの自動車は痛みが少ないはず。そう感じて僕はお車をお預かりすることにしました。

ひと通りの点検をすると、前回の車検でたくさんの箇所に手入れがされていたことを差し引いてもお車の状態はとても良好で、車齢で6年程度の印象がありました。

屋根がなく、樹木の近い場所で駐車されている形跡がありますが、決して過剰になりすぎない優しい手入れが行き届いていました。また、アクセル・ブレーキ・ハンドルのどの操作もすごく丁寧な様子で、輸入車は接し方一つでずいぶん若さに違いが出るんだなと感じます。

車検後は少し点検の間隔を早めて状態の変化を拝見したいと思います。

このたびは、お声がけいただき本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお付き合いください。