カテゴリ: アルファロメオ

イタリア車に見る基本構造の脆弱性(ワイパー作動不良、アルファ147セレスピード)

雨季に入って間もなく、運転席側のワイパーがグラグラしていて動作がおかしいと、アルファ147後期のオーナー様から連絡が入りました。

お天気が良くなったらお持ちくださいとお伝えし、ワイパーリンケージの不具合をWebサーチします。

平成18年式 GH-937AB ツインスパーク2.0L セレスピード 走行距離72,000km

多発事例のようで、なんとリンケージの一部が折損するようです。

アルファロメオに限りませんが、諸外国のクルマは、強度的に肝心な箇所に樹脂パーツを使っていることがあり、こちらも例に漏れず、ワイパ動作を支える要の部分に樹脂パーツを使用。カウルトップガーニッシュのメッシュ部分の下ということもあって日光に当たる時間が長く、劣化に拍車をかけた様子です。

ガーニッシュの下には、このようなモーターの回転運動を往復回転運動に変換するカラクリが入っています。

折損したのはこの部分、常にワイパーアームの強いスプリングの力が掛かる支点に近い場所。

異文化に触れることを目的に、以前は外国車整備に積極的に携わっていましたが、国産自動車にはまず見られない理不尽で不可解な脆弱性に直面すると、一事が万事、クルマ全体がチープに感じ、流麗なボディラインも華麗な色彩も一気に褪せ、気持ちが萎えたものです。

↓【参考】ホンダ フリードのワイパーリンケージ。ワイパーアーム取り付け部は適切に強そうで自然な形状です。

早いもので、こちらの147も車齢が18年、ワイパーリンケージの新品部品はとっくに供給が終了していて、頼りない中古品が高値で取引されている現状。法外な価格の社外新品もあるのですが、不釣り合いすぎて取り寄せる気になりません。

色々調べると、147前期モデルとGT前期はワイパーリンケージが共通部品(右ハンドル用 P/N 46751713)でした。後期型になって、それぞれ専用の品番が宛がわれています(147後期 右ハンドル用 P/N 50501304、GT後期 右ハンドル用 P/N 50502817)。

後期のワイパーアームは147とGTは共通。中古部品をサーチして写真で見比べますが、147後期用とGT後期用の違いが判りません。

147後期の中古部品は価格高騰しているのですが、GT後期のものは比較的新しいし良心的な価格のものが多いのです。

流用可能ならGT後期用を使いたくて国内外の車種別掲示板を色々見ますが、50501304と50502817の違いや互換性を明確に結論している書き込みがついに見つかりませんでした。

最悪使えなくても、双方の相違が判るなら見合ったコストだと割り切り、GT後期の50502817の中古品を取り寄せました。

現物を比較してようやく判明したのが、運転席側ワイパーアームの取り付け部の長さが全く異なっていました。

幸運にもワイパーアームプーラーなどを用いて組み換え可能で、50501304用の運転席側クランクを50502817に組み替えました。

モーター軸のボールジョイントも慎重に均等に引き抜けば破損することなく着脱可能

無事組み換え完了です。

(動画がうまく再生できない場合はこちらから)

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