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善意のヒューマンエラー(トヨタ アレックス CBA-NZE121 車検整備)

エンジン不調の処置後、調子がよく約半年経過したトヨタ アレックスは、僕が初めて拝見する24ヶ月点検(車検)の時期になりました。

平成16年式 CBA-NZE121 1NZ-FE(フライバイワイヤ式スロットル) 4AT 走行距離 53,000km

前回の12ヶ月点検まで他所で点検整備をされていた記録が残っていましたので、整備の手が入った箇所を入念に点検する必要があります。

リアブレーキの油圧シリンダ(ホイールシリンダ)からブレーキフルードが滲み出しています。

油圧ピストンをシリンダから取り外し、

カップと呼ばれるラバー製のパッキンを取り去ると、矢印の部分に深い傷がついていました。

過去の整備暦でカップの交換を実施されていたのですが、トヨタのこのタイプのホイールシリンダは、シリンダもピストンもアルミ製でカップの材質もよく、管理車両で液漏れしているものを見かけたことがありません。

かつて24ヶ月毎にホイールシリンダをオーバーホールしていた時代の名残で、予防的に交換されたと思われるカップは社外品でした。アルミニウム製のピストンはとてもデリケートですからカップを交換するにも高度な技術を要します。この傷は、細いマイナスドライバーのようなもので無理に離脱したように見えます。

近年の国産車の部品耐久性向上は目覚しいものがあります。ブレーキパッドやファンベルトなど、磨耗する部品でさえ磨耗が極端に少なくなりました。不適切な部品を使用したり、その作業手順を誤ると、善意の予防が人為的過誤となり、却って状態を悪化させてしまうのです。

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