エンジン警告灯(P0172 リッチ異常)が点灯し、エアフロセンサーの交換で調子が良くなったことを確認してお渡ししたトヨタ エスティマは、約1000km走行後、2週間経ってエンジン警告灯がまた点灯したと連絡がありました。
前回『トヨタ エスティマ エンジン警告灯点灯(その1、TA-ACR30W P0172 リッチ異常)』の続きです。
平成13年式 TA-ACR30W 2AZ-FE 4AT 走行距離 161,000km
4か月前から冷間時のアイドリング不調を伺っていましたが、今一度問診すると、前回お預かりした際のエンジン警告灯点灯は冷間時に限らないとのこと。
今回お預かりしたときは完全暖気状態で、エンジン警告灯は消えていました。そして、前回同様、ドライブレンジで低回転走行中に加速のもたつきが感じられます。エアフロセンサー交換直後の約15分の試運転では偶然調子が悪くならなかったようです。
G-Scanでの診断結果は同じく「P0172 リッチ異常」でした。
警告灯点灯の瞬間のデータ(フリーズフレームデータ)を確認すると、空燃比フィードバックに20%を超える減量補正がわかります。そして水温は85℃ですから冷間ではないようです。
車速0km/h、ニュートラルスタートスイッチON、ブレーキスイッチOFFという状況から、アイドリングでPレンジではないかと思います。
P0172 リッチ異常は、理論空燃比より燃料が濃い時間が一定以上続くと出力される故障コードです。検出は排気管内のO2センサーで行います。もちろんO2センサー不調の場合もあります。しかし、それは稀で、特にこちらの車両は3年前、125,000km走行時にO2センサーを新品に交換していますので、点検順位を下げていました。
完全暖機状態で症状の再現を試みます。水温が安定してすぐのデータです。2つのO2センサーの値は正常です。
ところが1時間ほど市街地走行すると、空燃比フィードバック値B1が約-20%に近くなる状態が続くようになりました。O2センサー電圧B1S1は1.2V付近を示します。尚、エンジン警告灯の点灯はありません。フリーズフレームデータのように空燃比学習が-20%を超えると点灯するのでしょうか。
B1とは2AZ-FEエンジンの場合、1番シリンダと4番シリンダの排気管集合部のO2センサーの位置です。一方B2は2番、3番の排気管集合部ですから好調の場合、各々のセンサー出力に大きな差は無いはず。
20%も減量補正するほど燃料が濃いと検出しているのですが、スパークプラグを目視点検するとむしろ薄く、4気筒とも綺麗に燃焼しています。念のため1番4番のグループと2番3番のグループの点火系部品を交換しましたが症状に変化ありませんでした。
試しにB1のO2センサーのコネクタを取り外します。完全暖機状態ではエンジン警告灯の点灯はありませんでした。
O2センサー電圧B1S1は、空燃比リーンと同等の0.000V、空燃比フィードバック値B1は約+20%。発進時のもたつきは解消して調子は良くなりました。B2のO2センサーで断線状態にあるB1S1を補間制御しているようにも思います。
点検順位を下げていた、3年前に交換したO2センサー不調の可能性を払しょくするため、中古品を取り寄せて交換点検してみることにします。
次回『トヨタ エスティマ エンジン警告灯点灯(最終回、TA-ACR30W P0172 リッチ異常)』に続く
|