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冷凍庫を積む軽トラックの整備性(スズキ キャリィ EBD-DA16T)

8年目を迎えた冷凍庫付きの軽トラック(スズキ キャリィ)は、もうすぐ走行距離が25万キロ。

主に市街地走行&極端にストップゴーが多い状況で年間約3万キロ走ります。ここまでほぼトラブルなしで走行できているのは、ドライバーさんのクルマに対する注意が行き届いているからに他なりません。

今回は車両下にクーラントのようなものが滴下しているということで点検しました。とてもよい習慣ですね。始業点検は大事です。

平成29年式 DA16T R06A 3AT 走行距離 249,000km

予防整備的なことを極力控えていた車両です。この距離まで交換実施していなかったウォータポンプからだろうと点検しますと、やはり漏れています。

ただ、クーラントがグリーンに見えます。このお車はスーパークーラントでブルーのはず。どこかで間違って混入したようです。

左のボトルが車両から抜き取ったクーラント、右が新しいクーラントです。従来のロングライフクーラントとスーパークーラントとが混ざるとゲル化して水路を詰まらせる事例があります。今回抜き取ったクーラントも少し粘度が高くなっているような気がしました。

さて、クーラントリークはウォータポンプだけではないようで、オイルパン付近にも漏洩痕がみられました。

辿ると、スロットルボディに接続される細めのクーラントホースからのようです。

こちら側はまだ何とかアプローチできますが、ホースの反対側はインテークマニホールドの下を通ってシリンダヘッドに向かっています。

通常、DA16Tのキャリィには荷台の一部が整備のために離脱できる蓋(フロアサービスリッド)がついていますが、冷凍庫の大きなボックスを冷凍配管と共に積んで固定、荷台を占領し簡単には開けられません。

こんな場合の一番簡単な方法は、思い切ってエンジン離脱です。

完成車メーカーは、短い時間で完成車を組み立てるため、構造の集積化(コンポーネント化)など、色々な工夫をしているのですが、海外のクルマが組み立て方向のメリット(工数削減)を極端に重視しているように感じるのと対照的に、国産車は分解(離脱)作業も共に容易になる配慮がされているように感じるのです。

今回のスズキは、その優しい配慮(と感じる)のおかげで、何箇所かのコネクタとボディーアース、クーラント配管、燃料配管、吸気ダクト、排気管、プロペラシャフトを切り離すと、意外に短時間で車両から離脱できました。

さて、目的のホース接続部はこの赤丸の部分。

不思議に感じるのは、スロットルボディに接続される2本のホースのうち1本は漏れているのに、他方は滲みもないこと。

比較すると表面の状態に差がありました。片方は滑らかな表面に対して、漏れていた方は凹凸があります。これは新品部品でも同様でした。同型エンジンの今後のチェック重点項目です。

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