『電動格納ドアミラーのモーターが突然停止しなくなりました。エンジンを停止・再始動しても格納モーターが回りっぱなしです。』
と、お客様から連絡が入り、大変お困りの様子です。
ドアミラー内部の歯車機構の不調でミラー開閉動作の終端で停止せず、モーターが回ったままになっているようです。
このままですと、小さなモーターにとっては負荷が大きく、過熱による損傷の可能性があります。
何とか電源を断ちたいところですが、ドアミラーのコネクタを離脱するためにはドア内張を取り外す必要があり、ユーザー様に作業をお願いするのが難しく、できるだけ早くご来店いただくことにいたしました。
スズキ ラパン 平成21年式 DBA-HE22S K6Aターボ 4WD 走行距離 129,000km
一般的にドアミラーに不調が生じた場合、ミラー面、化粧カバー以外の単体部品の供給がないことがほとんどで、今回のように格納モーターユニット内部の故障の場合、ドアミラー全体の交換になります。
こちらのラパンの場合、ミラーウインカー、熱線付きミラーが装備されていることもあって、片側の新品定価が4万円以上と大変高価でした。
中古部品を検索しても同じように経年していますから、同様の不調が早期に現れる可能性が高く、たとえ新品の1/2~1/3程度の価格で入手できたとしても、なんだかスッキリしない処置になってしまいます。
何か利口な方法はないものかとWebサーチしますと、どうも同年代のスズキ車に共通の不調が多発しているようで、損傷部分だけの対策部品(もちろん社外品)が某フリマサイトなどで販売されていることがわかりました。
いままでの常識では、サイドミラーは分解できない(接着その他の理由で分解困難)ものでしたが、この頃のスズキのドアミラーは幸いにも、比較的簡単に各部品が無傷で分離可能な構造ということがわかりました。
そして、格納動作を司るモーターユニットはこちらです。
2極のコネクタで簡単に接続されていて、ユニットは左右共通のようです。
モーターユニットの樹脂ケースは非接着で、5箇所の爪を優しく均等に解くと、容易に内部部品を取り出すことができました。
金属のウォームシャフトに装着される白い樹脂製のスパーギア。その中心が空回りしてしまうのが不調の原因です。劣化のためか取り出す際に簡単に割れてしまいました。左の黒いスパーギアが金属製の対策部品(社外品)になります。
ウォームシャフトには回り止めのため、2箇所平らに加工された部分があります。
そして、それに勘合するスパーギア中心穴にも平らになった部分が2箇所あって、共回りしないようになっています。
ミラー開閉動作停止時の勘合部付近は、回転中心に近いため大変強い力が掛かります。経年した樹脂材料では耐えられなかったのでしょう。
某動画配信サイトでは、一般の方が接着による固定を試されているものがありましたが、強力な接着剤を使っても、強い駆動力に耐えるのは難しく、応急的処置という印象をもちました。
対策品とされる金属製スパーギアに置き換えると、ウォームシャフトとの勘合部以外に負担が掛かることが心配ですが、しばらく運用することにいたしましょう。
ドアミラーの取替作業だと、総費用が高価な割に作業工賃がわずかで、お客様も僕もあまりうれしくない内容になるのですが、今回のように安価な部品交換が実現できると、総費用が大幅に抑えられる上、工賃比率が高く、双方違和感の無い「修理らしい」作業になるのがいいですね。
部分修理の今後の調子を見つつ、反対側のドアミラーの不調の際には同様の処置で対処しようと思います。
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