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本気でメーカーが作ったサスペンションの実力(ルノー スポール ルーテシア3RS)

お客様が中古車で購入されたルノー ルーテシアは、足回りに変更が加えられてありました。

それは一般に「車高調」と言われる、名の通り車高(ライドハイト)を目的の値に調整できるアフターマーケット部品です。

一般の方が一般公道で使用される場合、機能を向上させる根拠のある値(車高、スプリングレート、ショックアブソーバの減衰力など)をご存じかというと、兎に角車高を下げて、レース車両のような外観を得ることがほとんどの目的かなと思います。

そして多くの場合、「車高調の乗り心地の悪さは、走行性能向上の代償」と勘違いされていることが残念で仕方ないのですが、ルノースポールのように、メーカーが本気で作ったスポーティな足回りは改変の余地がほとんどなく、乗り心地と操作性を両立した上出来の足回りになっているのです。

平成22年式 ABA-RF4C F4 6MT 走行距離 60,000km

最初に車高調装着の状態でテストドライブした時の印象は、タイヤ接地性の欠落でした。

ポンポン小躍りするような落ち着きのない動き。

車体の揺動が収まりませんので、精緻さを要求されるアクセル&ブレーキ操作の妨げになり、安定してドライビングができません。

また、無暗に車高を下げた結果、バンプストロークが少なく、少し強めの入力で底突きしそうな印象でした。

お客さまも同様の感想をお持ちでしたので、改変部を全て標準に戻す作業を実施することにしました。

小さなエンジンルームにすっぽり収まる2.0Lガソリンエンジンと6速ギアボックス。

輸入車では珍しく、高回転型エンジンらしい鋭いアクセルレスポンス。クロスレシオ6MTと相まって、まるで二輪車のような軽快で小気味よい加速が得られます。

足回りさえ安定すれば満点です。作業を急ぎましょう。

ワイパーモーターリンクが収まるカウルトップパネル下にフロントサスペンションのアッパーマウントがあります。この付近の形状は日産マーチと酷似していますので、プラットフォームは共通なのかもしれません。

ストラット式のフロントサスペンションは、ストラットだけを離脱することを許してくれず、ロアアーム以外は全て分解する必要がありました。

アルミニウム合金多用で、ストラット式でありながらストラットが操舵時に回転しない特殊な構造です。かつてトヨタの一部車種にあったスーパーストラットサスペンションを思い出しました。

ブレンボ製の軽いキャリパーも含めて、ばね下重量が非常に軽く作られていますので、新車装着の標準のホイール&タイヤセットが重量的にベストマッチなのかもしれませんね。

左の標準のストラットと、右の車高調の外観はずいぶん違います。

特にコイルスプリングの絶対的な容量が異なります。同じ車高調でも公道を疾走するWRCで使われているサスペンションはこんな頼りない印象のものではありません。

すべてノーマルの標準に組みあがり、各部調整を終えたルーテシアは荒れた一般道の路面を滑走するように駆け抜けます。

剛性感があるのに突き上げは皆無。ロードホールディング性が飛躍的に向上した標準の足回りは痛快の一言です。

また機会があれば山坂道にご一緒しましょう!

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ITS