継続的にメンテナンスしているアルファ156です。前回作業『アルファロメオ 156 V6 2.5 リアショックアブソーバ交換他(E-932A1)』から高速道路を主体に早5万キロ近く走行されました。
アルファロメオ 156 V6 2.5 平成11年式 E-932A1 6MT 走行距離 131,000km
リフレッシュ当初のような乗り味が、最近になって突然損なわれたようで、随分ドタバタと落ち着きのない挙動になってきたとのこと。特にリアの変化が顕著らしく、ピッチングも現れてまるでフロアーがしなっているように感じるそうです。
おそらくショックアブソーバの機能不全でしょう。前回はモンローのリフレックスに純正のローダウンスプリング(アイバッハ, eibach)の組み合わせでした。リフレッシュ直後の足回りに僕は不満はありませんでしたが、国内に輸入されたローダウン仕様(スポーツサスなどと称されていますが、『スポーツ』とは何??)の足回りに少なからず疑問を感じていましたので、本国仕様のスプリングの存在を、以前からお客様にはお伝えしていました。今回のリフレッシュはちょうどいい機会です。
お客様との打ち合わせの結果、KYB Excel-G の選択肢が浮かんできました。
アルファロメオにカヤバ(KYB)はおかしいですか?Webサーチしてもこの組み合わせはほとんどなく、ブランド志向でビルシュタインやコニが大多数です。しかし、カヤバ(KYB)は世界的に非常に優れたマニュファクチャー。試してみる価値は十分にあります。
KYB Europe Webサイト
しかも、純正リプレイス品としてK-Flexという専用コイルスプリングの用意があることをお客さまはお調べになられていました。
この組み合わせで、本国仕様に近い足回りになるのではと期待が膨らみます。複筒式ショックアブソーバ Excel-G は、国内でも入手できますが、専用スプリング K-Flex は入手困難。今回、お客さまご自身で海外より輸入されました。
フロントの部品比較です。
スプリングの自由長がまるで違います(長い方が KYB K-Flex、短い方が純正ローダウン eibach)。
次にリア。
同様にスプリングの自由長に違いが見られます。同時交換でアッパーマウントもKYBから用意があり、きめ細かい配慮に感心しました。
車高が変わりますので各アーム類のサスペンション作動中心に配慮して慎重に組み付け、試運転を繰り返して完成としました。しかし、期待していたフロントの車高上昇が少なく、数ミリアップに留まりました。
リアは約20mmの車高アップになりました。
リアに乗員が搭乗するとバランスがよさそうな印象です。試運転は少しでしたが、本国純正仕様のスプリングとショックアブソーバのマッチングはとてもいいですね。路面の細かい凹凸の追従性の向上だけでなく、この本国純正仕様にして初めて気がつくことがありました。
カーブを曲がるときの操舵輪の安定感・安心感です。以前のローダウンスプリング仕様、今と比較するとカーブの曲がり始めのステアリングに伝わるインフォメーションが随分少なかったです。スプリングが硬く、ストローク初期のツッパリ感があったんでしょうね。
コーナリングフォース発生時のステアリングに伝わる情報が多いほど、運転者は安心感を覚えます。決してタイヤのグリップに頼らない、しなやかなイイ足回りです。
早速、高速道を走行されるとのことで、ぜひ感想をお聞かせください。この度は楽しい試みにお付き合いいただき感謝いたします。いつもありがとうございます。
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