数年にわたって乗り心地の相談を受けていますランチア イプシロンは、最初ご来店いただいたときはフロント、リア共 KYB Excel-G でした。
その後、リアをモンローのリフレックスにしたところ、車体との取り付け部のラバーブッシュの大きさがずいぶん違っていて、アブソーバそのものよりブッシュの特性が生き、「当たり」がマイルドな足回りに改善されました。
《関連記事》
ランチア イプシロン 乗り心地改善 (LANCIA Ypsilon ZLA843)
ところが、その後のお客様とのお話の中で、
「中古車として購入した時に付いていた使い込んだ純正ショックアブソーバが、今から思い出すと結構乗り心地が良かった。フロントをKYB Excel-G、リアをモンローリフレックスの組み合わせも悪くないけれど、やはり微小凹凸通過時の突き上げ感は残っているし、未知のオリジナルの乗り心地を求める気持ちが消えない。」
とおっしゃいます。僕は、アルファロメオ156の足回りについて調査していたころ、非常にたくさん分類されたショックアブソーバとコイルスプリングがあったことを思い出し、ランチアにおいても設計時には、自動車のキャラクターを意識した特別なアブソーバが装着されている可能性があるのではないかと考えるようになりました。
ところが、純正のショックアブソーバは大変高価です。アフターマーケットパーツの何倍もする純正ショックを購入するのはとても勇気が要ります。
空き時間にWebサーチしていたところ、本国イタリアでデッドストックが販売されているのを見つけました。
冒頭の写真がそれで、お客様はイタリアから転送サービスを駆使して無事入手されました。当時のランチアの印刷が褪色していますが、内部の部品に問題はなさそうです。
KYB Excel-G よりピストンロッドが細めの純正ショックは、手応えを確かめると縮み側減衰力の弱いものでした(上:純正、下:KYB)。
組みつけて試運転しますと、挙動が実にゆったりとしたものに変わり、逆に今まで感じなかったリアの硬さが不思議なほど感じるようになりました。
本革のソファーのようなシートとも調和し、高級車ブランドのランチアらしい素晴らしい乗り心地になりました。欲を言えばリア側も純正アブソーバにしたいところですが、まずは、摩耗の進んだピレリを、是非、純正装着のコンチネンタルに換装してみてください。
今回、大変楽しい試みをお手伝いできたこと、大変うれしく思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
《関連記事》
新車装着タイヤにこだわる(ランチア イプシロン ZLA843 コンチネンタル ContiPremiumContact5)
a href=”https://takeshi-kun.com/article/427053502.html/” rel=”noopener” target=”_blank”>不可解な欧州車の部品供給(ランチア イプシロン ZLA843 ワイパー作動不良 修理)
高性能テスターは使い手次第?(ランチア イプシロン ZLA843 アライメント調整)
ランチア イプシロン ZLA843 タイミングベルト交換
メンテナンスインターバルリセット(multiecuscan 輸入車診断機 ランチアイプシロン ZLA843)
非純正パーツ選びは慎重に(ランチア イプシロン クラッチ交換 ZLA843)
読者様からのお便り