(イプシロン 120,000km、サニーカリフォルニア 211,000km、ハイゼットカーゴ 144,000km 国内外10万キロ超走行車 揃い踏みでした)
以前から乗り心地改善のご相談があったランチア イプシロン。昨年のクラッチのオーバーホールの時には、すでに新しい KYB Excel-G が装着されていましたから、ショックアブソーバの機能が損なわれているわけではなさそうです。
平成16年式 ZLA843 左ハンドル 5MT 走行距離120,000km
僕からはお勧めできる改善案のないまま時間が経過していましたが、お客様がモンローリフレックスをご用意くださいましたので早速装着します。Webでは評判がいいとのことです。
まず最初に気がついたのは、ボディー側ブッシュの大きさの違い。(左がKYB Excel-G, 右の大きいほうがモンローリフレックス)
路面からの力が掛かり始めるストローク初期、ショックアブソーバのラバーブッシュの変形は乗り心地にかなり影響します。それほど重要な部品です。
余談ですが、路面とタイヤの接地性を重視したサーキットなどでは、ショックやアームの支点にピロボールや強化ゴムブッシュなどを装着する場合がありますが、市街地では極端な乗り心地悪化と、操作の過敏さが表に出ますのでよほどの理由が無い限り市街地走行車には装着しないものです。
さて、ブッシュが小さい KYB Excel-G はコツコツと微振動が気になりましたから、モンローリフレックスの期待が高まります。
ショックアブソーバを交換すると車高が変わりますので、必ずすべてのサスペンションアームの取り付けを緩めて1Gで芯出しをします。これをするのとしないのとでは全く乗り味が違います。もちろんトーも変化しますから再調整。
最終調整を経ていつもの山坂道に持ち込みます。ランチャという高級ブランドらしいしっとりとした乗り心地が戻りました。
あとはお好みでタイヤの空気圧をいろいろお試しください。
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クルマのキャラクターとショックアブソーバ(ランチア イプシロン ZLA843 乗り心地改善)
さて、もうひとつ修理のご依頼のあった運転席のドアハンドルの不調。車両前方の支点に当たる部分がぐらぐらです。
ドアノブの内側の状態を確認するには、ドア内張り、ウインドガラス、パワーウインドレギュレータなど、ドア内部のほとんど全ての部品を取り外す必要があります。
取り外したドアノブは、支点部のプラスチックが完全に破損していました。
ただ接着するだけでは強度が不足しますので、ボルトを曲げたものを芯に挿入し…
非常に硬化後硬度の高い特殊なエポキシ樹脂で固めます。
これで、乱暴な操作をしない限り問題なく操作できると思います。
お客様の熱心な調査で、早期に乗り心地の改善に至りました。純正交換を謳う社外品は、このような仕様の違いは茶飯事です。ショックアブソーバは社外に優れたものが多く存在しますが、選定には細心の注意が必要だと感じる事例でした。この度はご用命誠にありがとうございました。またのご来店を心よりお待ちしております。
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