「助手席の足元で水滴を発見し、ふき取ったところ青色でしたので、おそらくクーラント漏れです。」
と、シトロエンC4のお客さまから連絡がありました。
平成21年式 ABA-B5NFU NFU AL4 走行距離44,000km
同様事例をお客様ご自身がWebサーチされ、ヒーターコアのジョイント部からクーラント漏れが多いことを同時にお知らせくださいました。
ヒーターコアという部位は、空調装置の一番奥に配置されていることが多く、整備するには、ほとんどの場合ダッシュパネル脱着という大がかりな作業を伴います。
こちらのC4は、グローブボックスと、一部化粧カバーを取り外すと、問題のクーラント漏れがある箇所が手の届く位置に現れました。
青白く見えるのがクーラント漏れの痕跡です。クーラントは、90℃くらいの「お湯」です。微量の漏れの場合、このように乾燥して固形物の析出が見られます。
ヒーターパイプは、ポリアミド66の樹脂製でした。2つの平行するパイプの中央部を一組のボルトナットでのみ締結する方法で接続された漏れ箇所は、経年で樹脂にひずみが生じ、漏れが始まるのは仕方なさそうです。
水路に樹脂部品を使う理由は、複雑な構造を安価に成型できることと、組立のしやすさだと思います。新車製造時は、ヒーターコアを含む組み立て済みの空調装置を一番最初に室内に配置し、ダッシュパネルその他を組んでいるようです。そして、エンジンルーム側のホースは、ワンタッチコネクタでヒーターパイプに接続されます。
右ハンドル車は助手席足元に作業スペースの余裕があり、工夫しながらパイプのみを取り出せて、ダッシュボード脱着作業は回避できました。
ポリアミド66は劣化したクーラントに晒されると、驚くほど脆くなります。それは、指で簡単に砕けるほどです。クーラントの定期交換と、潤滑性能の高いエンジンオイルで熱負荷を低減することが、水路に樹脂パーツを多用する欧州車を長持ちさせる一番の秘訣だと思います。
漏れが始まった箇所以外にも、同様に経年変化のある部位があります。今回は、オーナー様の愛情と観察力で早期発見につながり、エンジンに重大な損傷を与える前に処置できたと思います。
そして、問題が多いとされるオートマチックAL4も、初期から合成油を定期的に交換し、順調に稼働しているようです。今後も好調が続くことをお祈り申し上げます。
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たけちゃん(神奈川) says
寿命の秘訣、電気・アブラ・水(LLC) ですよね。
たけしくん says
たけちゃん(神奈川)さん、お返事が大変遅くなりました。
「電気」についてもまた記事にしたいと考えています。案外ご存じでない方が多いように感じています。