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油圧プレスを使用するハブベアリングの交換(DBA-AK12 マーチ12SR)

先日ショックアブソーバ交換の際に見つかったマーチ12SRのフロントホイールの僅かなガタ。ハブベアリングの交換を実施します。

平成19年式 DBA-AK12 CR12DE(tuned by autech) 5MT 走行距離 60,000km


6万キロという走行距離でハブベアリングの交換は、平均的には少し早い感じがしますが、ドライビングを楽しまれている証だと思います。

前輪中心に配置されるハブベアリングは、ショックアブソーバ、ステアリングタイロッド、そしてサスペンションロワーアームを連結するハブナックル内部に強力に圧入されています。まずはホイール取付部のハブフランジを取り外します。

こちらのベアリングは内側・外側のボールベアリングが一体になった幅の広いもので、ハブフランジには外側ベアリングのインナーレースが残ったままになります。

浮き錆と固着が酷かったですが、清掃するとハブの軸に目立つ傷や浸食が見られませんでしたので再使用します。
残ったインナーレースは、汎用プーラーでは抜き取ることができませんでした。

グラインダーとベルトサンダーを使用して平らに削り込みます。ある厚みまで削ったところで、亀裂が入りましたのでタガネで割る必要がありませんでした。中心にドライシャフトの通る穴の開いた部分にできるだけタガネを当てたくありませんので好都合だったといえます。

次にハブナックルからベアリングを抜き取ります。複雑な形状のナックルを水平に設置するため、このようなプレススタンドを用いると安全確実に作業が進みます。

油圧プレスの計器読みで7トンの力を掛けて、鋭い轢音とともに圧着が解けた旧ベアリング。プレス台全体が共鳴してその力の強さがわかります。

そして、新しいベアリングは内側にABSセンサープレートが来るように圧入します。圧入に使うドリフト(当て子)は過去に抜き取った色々なサイズのベアリングから適当なものを選択します。

抜き取りほどの力は必要ありませんが、最終圧入荷重目安(49,000N、修理書参照)を参考にプレスのレバーに到達を感じとります。最後にハブフランジを圧入して完了です。

近年、ハブフランジとベアリングが一体化した部品供給が主流になりつつあります。このような熟練の要るプレス作業もめっきり回数が減りました。

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