車検コースでのヘッドライト検査が原則ロービームに移行して約2週間が経過しました。難しい計測判定に移行するので混乱は明らかと思い、僕は、8ヶ月前から各所に問題予想を投げかけましたが、特に動きがないまま平成27年9月1日を迎えました。
繁忙期でも見られないような大渋滞は全国各地で見られたのでしょう。9月14日(月)ヘッドライト検査に一部変更が加えられました。
最初はロービームで検査、不合格の場合はその場でハイビームで再検査。ハイビームでも不合格の場合は一旦コースから出て、再々検査はロービーム・ハイビーム任意で受検できるとのこと。渋滞緩和目的の暫定措置だとのことです。
↓整備工場向けの国土交通省の文書にも同種の記載があります。
国自整第54号-2-(1)-イ
カットオフラインの明瞭な理想的な配光だと、ロービーム計測・判定はそう難しくはありませんが、例えば、本日車検したダイハツ ムーヴ。
平成18年式 CBA-L152S JB-DET 4AT 走行距離 31,000km
ヘッドライトテスターに映るロービームの配光は、カットオフラインが非常に不明瞭でした。
明暗が幅広くぼやけた配光で、概ねのカットオフライン(赤線)を予想して光軸を調整します。
合格判定は、黄色の四角内にエルボーポイント(カットオフラインが水平から左斜め上方に立ち上がる点)があるか否かです。
↓これはカットオフラインが明瞭なロービーム配光の例です(トヨタ ピクシススペース DBA-L575S)。これだけ理想的に明暗が分かれているものは調整が容易です。
不明瞭なカットオフラインを描く配光のロービームは不合格率が非常に高く、今回車検したムーヴは、左右ライトとも上方約10cm/10mで不合格でした。
以下、今年1月から最もデータ数の多い京都軽自動車検査協会の1コースで車検した30台のまとめです。尚、合格率は96.7%でした(30台中1台不合格)。
自社テスターの調整値は、左右方向0cm、下方6cmに統一しています。
合格範囲は左右にそれぞれ27cm、下方2cm~15cmの範囲です(いずれも車両前方10mの照射位置での計測値)。
軽自動車検査協会の1コースは全て自動計測。検査官の主観が入る手動計測は一切行っていません。
左右方向はやや左方に、上下方向はやや下方に計測される傾向があり、特に右側の上下方向の標準偏差が大きいのは、乗員1名の体重が計測結果に影響するのではないかと考えています。
そして、左右方向は標準偏差が合格範囲と比較して大きく、計測にばらつきが大きいことを表します。実際合格範囲ギリギリでの合格という例が目立ちました。
以前のハイビーム検査の合格率は99%以上でした(1000台受検あたり約1台の不合格)。ロービーム計測がいかに不安定で難しいかわかると思います。
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