エンジンオイル濾過装置のオイルフィルターは、カートリッジ式と呼ばれる金属缶の内部に濾材が内蔵される構造がまだまだ主流です。
「まだまだ」と申しますのは、一部、濾材のみ交換する新しいタイプが増えてきたからです。
メルセデスやBMWは、環境先進国の生産車らしく、随分前から濾材のみが交換できる構造が採られています。しかもボンネットを開けると、それがすぐに手の届く場所にあって、作業する人にも優しい構造だと感心します。
さて、自動車のエンジンは非常に製品寿命の長い部品で、車種何世代にも渡って小変更を加えながら搭載されるものですから、オイルフィルターの構造がカートリッジ式ならば、それを踏襲しています。デンソーは、カートリッジ式オイルフィルタの高い環境負荷を低減するための努力として、「成型体フィルター」と称する優れた構造のオイルフィルターを開発しました。以下の論文 参照。
↓使用後の成型体フィルターの濾材
ところが、最近になって同社の成型体フィルターは、従来の濾紙式フィルターに構造が戻りつつあります。トヨタ、スズキ、ダイハツの純正オイルフィルターはほとんどが成形体だったのですが、新たに仕入れたものはすべて MADE IN CHINA の濾紙式。濾材自体は、濾材のみ交換するタイプと共通のものを組み込んであるようですので、トータルコストの削減が目的なのでしょうか。濾材と鉄芯の分離も容易で、廃棄時の分別に関しても考慮されているようです。