パワースライドドアが備わるトヨタのコンパクトカー ラウム。
一日の開閉回数が多めのお客様です。今回は車両左側のパワースライドドアの不調でお預かりしました。
閉じた状態から開こうとするや、何かに引っかかったように停止してしまうというトラブルです。手動での開閉や、ドアノブを比較的長時間引く操作をすると問題なく自動スライドドアの開閉ができます。
平成21年式 CBA-NCZ20 1NZ-FE 4AT 走行距離 83,000km
スライドドア側のロック機構と、それが噛み合うボディ側のストライカーが上手く離れていないようです。
お客様は、Web情報からドアロックリリースモーターの不調と予想され、ご自身で手配されたリリースモーターASSY内部にあるマブチ130くらいの小型モーターを小さな封筒から取り出されたのです。
たけし:「へぇ。こんな単体部品が販売されているんですか。」
お客様:「トヨタの同一機構の定番トラブルらしく、大きなアルファードなどは内張を外すと比較的簡単に交換できるようなのですが、ラウムは少し勝手が違うようで、お任せできないでしょうか。」
と、原因特定までされていましたので、まずは現状を確認します。
スライドドアの内張を取り外すと、一見複雑に見えますが大きく3つの動力機構に分かれています。
①はウインドガラスを上下させるレギュレーターモーター、②が目的のドアロックリリースモーター、③はパワースライドドアモーターです。
②のドアロックリリースモーター下部の扇状金属プレートは、時計回りの回転方向に、90度か少し大きい回転角でオペレーティングロッドを引き込むのが正常な作動です。現状確認のため操作しますが、全く動く気配がありませんでした。操作時に通電はしていますのでモーターの不良で間違いなさそうです。
すぐ見える場所ですが、ドアの内側からのボルト止めのためパワーウインドレギュレーターを取り外す必要があります。
そして、パワーウインドウレギュレーターはドア内部に最初に組付けられる部品ですから、結局ほとんどすべての部品を離脱しないといけません。
分解の過程で意外に苦労したのが、こちらのチャイルドロックレバー中心の樹脂部品。整備要領書では、クリップリムーバーで取り外す指示ですが、ドアパネルが変形するほど力を込めても外れません。微妙に力を加える方向を変えながら慎重に作業しました。
さらに、スライドレール前端付近のパワースライドドアケーブルのクランプ部も構造がよくわからず、鏡や写真で確認しながらの作業です。
ドアロックリリースモーターASSYを黒い金属プレートから取り外します。
モーターASSY分解からモーター単体を交換する作業は容易でした。
通常、高価なモーターASSYでしか部品供給がありませんので、貴重な情報をご提供いただき感謝申し上げます。
今後、同一症状の修理に活用させていただきます。
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